連載 とびら
自分ごとに手繰り寄せる想像力
片岡 保憲
1
1脳損傷友の会高知青い空
pp.1111
発行日 2026年10月15日
Published Date 2026/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520600101111
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Aさんは,数年前に事故で脳を損傷した.事故後,離婚し,妻は2人の幼い子供を置いて家を出た.Aさんのご自宅を訪問したことがある.そのときにこの目で見た状況を列挙する.
掃除がされた痕跡のない小さな暗い部屋で,小学校低学年の女の子と保育園年中の男の子が遊んでいた.家にある食材はニンジンが1本.Aさんには,生活保護などで一定の収入はあったが,収入のほとんどはAさんがパチンコなどで使い切ってしまう.Aさんは,食材を買うお金がなくなったとき,近所の人や親戚,保育園の園長に何度もお金を貸してほしいと交渉している.子供たちは数週間お風呂に入っておらず,衣服もほとんど着替えていない.子供たちが一日何も口にしない日がある.小学校低学年の女の子には持病があり,薬を飲まなくてはいけない状況であるが定期的な病院受診もできていない.Aさんは,感情をコントロールできないときがあり,ダメなことだとわかっていながら,ときどき,子供たちに手をあげてしまう…….
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