- 有料閲覧
- 文献概要
月日が過ぎるのはなんと早いことか.東京都立大学をリタイアし縁あって杜の都の仙台青葉学院大学に着任してすでに3年が経とうとしている.1980年に理学療法士として長野県鹿教湯病院で臨床業務を開始した筆者は,初めて担当した重度半側空間無視症例の理学療法に難渋し無力感に苛まれ,先輩の教えを請い文献を読みまくり何とか過ごしてきた.1982年に聖マリアンナ医科大学病院の三好邦達先生(当時,整形外科主任教授・リハビリテーション部長)の指導のもと大学病院での目まぐるしい勤務に就いた.1993年に筑波大学の修士課程を修了した筆者の指導教員であった福屋靖子先生から声をかけていただき,「理学療法ジャーナル」誌(以下,本誌)の編集委員となった.ご存じのように1967年から22年にわたって刊行された「理学療法と作業療法」誌を受け継いで発刊された本誌は日本を代表するジャーナルであり,筆者のような若輩が上田敏先生,奈良勲先生をはじめとする綺羅星のごとき編集委員会の一員になることは大変光栄なことであった.筆者の一番思い出深い企画は,気鋭の女性理学療法士に執筆をお願いした連載「甃のうへ」で,これは三好達治の詩から転用したものであり,そのなかの「をみなごしめやかに語らひあゆみ(中略)わが身の影をあゆまする甃のうへ」に着想を得たものである.この孤高を感じさせる美しい詩の振る舞いにふさわしい活躍をされている女性理学療法士にフォーカスしようとしたものであり,好評を博したと聞いている.さらに大学病院での(自分の)臨床疑問を解き明かすことを目標に,「特集記事」,「解説」などの執筆者に託して企画編集を毎回やっとの思いで担当し30年が過ぎた.
Time of Wonderは福音館書店から発刊されている『すばらしいとき』という絵本の原題である.早春から夏の終わりまでを小さな島で過ごすみずみずしい喜びが描かれた誌的表現が美しい絵本で,読まれた方も多いと思う.幼かった子どもたちのために購入したが,『三匹のやぎのがらがらどん』のほうがお気に入りだったため親(筆者)がずっと大切にしてきた.Wonderを「すばらしい」と翻訳するセンスのよさ,何かに関心を抱いて不思議に思うことができることこそがすばらしいのだと,大人になってようやくわかる.
Copyright © 2026, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

