--------------------
編集後記
白谷 智子
pp.1010
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590081010
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
朝からかき氷が恋しくなるほどの盛夏となりました.うだるような暑さのなか,雑誌を手にとると,その温もりで紙が柔らかくなりそうです.
さて,本号の特集のテーマは「運動器疾患における理学療法アウトカムと臨床実践」で,ゲストエディターの森口晃一先生にご企画いただきました.理学療法士による運動器疾患への介入は臨床現場においてきわめて一般的ですが,その効果を社会的に,あるいは多職種間で共有できる形で「見える化」するためには,アウトカムの標準化が不可欠です.本特集では,その標準化の視点として国際生活機能分類(International Classification of Functioning,Disability and Health:ICF)に着目し,臨床実践と研究の両面からアウトカム指標をどのように活用していくべきかを取り上げました.特集ではまず,ICFに基づき患者ごとに適切なアウトカム(ADLやQOLなど)をどのように設定するかを示しています.次に,そのアウトカムを評価するための具体的な検査・評価法と,それに基づいた運動療法のポイントが紹介されています.そして最後に,こうした枠組みを臨床にどう落とし込むか,ケーススタディを通じて実践的にご解説いただきました.いずれも,執筆された先生方が非常にわかりやすくまとめてくださっています.標準化されたアウトカムの導入は,われわれの介入の意義を明確にし,臨床の質をいっそう高めるための鍵となります.本特集が,その一助となれば幸いです.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.