連載 臨床実習サブノート 効果的かつ安全な起居動作へのアプローチ・第5回
軽度のパーキンソン病
中山 智晴
1
,
大森 圭貢
2
Tomoharu NAKAYAMA
1
,
Yoshitsugu OMORI
2
1須崎くろしお病院リハビリテーション部
2湘南医療大学保健医療学部リハビリテーション学科
pp.998-1003
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590080998
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パーキンソン病の概要
パーキンソン病(Parkinson disease:PD)は進行性の神経変性疾患であり,理学療法の対象者数としては,脳血管障害,認知症に次いで多い神経疾患です1).PDの発症要因の一つには加齢があります.世界的な高齢者割合の増加や,これまで診断されずに見逃されていたPD患者の存在などから,2040年の世界中の有病者数は,2015年の約2倍以上である1420万人にまで増加すると推定されています2).このように有病者数が急増する様子はParkinson pandemicと呼ばれ,早急な対策が求められています2).
PDには静止時振戦,筋強剛,運動緩慢,姿勢反射障害などの運動症状と,認知障害,精神症状,行動障害,睡眠障害,自律神経障害,痛みなどの非運動症状がみられます.このようにPDの症状は多岐にわたり,また変動する特徴があります.そして,これらの症状が進行・複合することで,心身機能・身体構造の障害が重度化し,さらに本人の性格や嗜好といった個人因子や,家屋や居住地域の環境,同居者など環境因子と相まって,起居動作をはじめとする日常生活活動や個人活動の制限,社会参加の制約を来します.
*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2028年8月31日).

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