特別記事
抗精神病薬の神話と真実
三浦 宗克
1
1埼玉精神神経センター
pp.96-104
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100626
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1949年、ノーベル賞を受賞したポルトガルの医師Egas Monizは、1935年に脳の前頭葉と他の部位との連絡を絶つロボトミー手術を初めて人間に施行した。初めはうつ病や不安神経症の患者が対象とされたが、その後統合失調症患者に対して世界中で行われるようになり、日本でも1975年に日本精神神経学会が「精神外科を否定する決議」を採択するまで、3万から12万人の患者がこの手術を受けたと推測されている。
この手術を受けると意欲が乏しくなり、無関心、無頓着になる人がいるので、恐らく興奮していた患者が静かになったことをもって「改善した」と考えたのであろう。私の勤務する病院にもこの手術を施行された患者が今も入院しているが、重い後遺症を伴ったこの患者は、手術について何も語ろうとはしない。実際には手術が重い後遺症を作り出すばかりで、何の改善ももたらさなかったことは明らかである。
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