Japanese
English
特集 脊髄再生を用いない脊髄損傷治療の現実と到達点
脊髄再生を用いない脊髄損傷の現実
The Reality of Spinal Cord Injury Treatment without Regenerative Therapy
小松 幹
1
,
須田 浩太
1
Miki KOMATSU
1
,
Kota SUDA
1
1北海道せき損センター
1Hokkaido Spinal Cord Injury Center
キーワード:
早期手術介入
,
early surgical intervention
,
非骨傷性頸髄損傷
,
spinal cord injury without bony injury
,
再生医療なしの回復
,
recovery without regeneration
Keyword:
早期手術介入
,
early surgical intervention
,
非骨傷性頸髄損傷
,
spinal cord injury without bony injury
,
再生医療なしの回復
,
recovery without regeneration
pp.487-492
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120380080487
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はじめに
脊髄損傷に対する治療は,神経再生が困難であるという生物学的制約のもと,今なお臨床現場に多くの課題を突きつけている.手術,保存療法,リハビリテーション,薬物治療など,既存の治療手段はある程度確立されてきたが,それらが常に最良の転帰をもたらすとは限らない.たとえば,手術の時期ひとつとっても,どのタイミングで介入するのが機能回復に最も有効かは,いまだ議論が分かれる点も多い.また,患者背景や損傷形態に応じた「個別化された治療戦略」の構築は,今後の大きな課題でもある.本稿では,脊髄再生医療を除いた現在の脊髄損傷治療における実践的到達点について,当院での経験を踏まえながら,特に初期対応の「適時性」および治療選択の「適切性」が予後に及ぼす影響を中心に詳述していきたい.

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