視座
霧の中で,風を待つ
加来 信広
1
Nobuhiro KAKU
1
1大分大学整形外科学講座
pp.104-105
発行日 2026年2月25日
Published Date 2026/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.055704330610020104
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近年,社会全体の働き方に対する価値観は大きく変化している.年功序列よりも実力や効率を重視し,常勤にこだわらない柔軟な勤務形態を選ぶ人が増えている.医師の世界でもこの傾向は顕著で,初期研修を終えてすぐに自由診療の美容外科へ進む,いわゆる「直美」と呼ばれる若手医師や,フリーランスとして働く麻酔科医・放射線科医の増加が目立つ.こうした働き方の多様化は,医療機関にとって安定した人材確保をいっそう難しくしている.
わが国では医師の地域偏在が深刻化している.厚生労働省が2025年度に公表した最新の「地域医療計画」および「診療科別偏在指標」によると,依然として都市部への医師集中と地方での外科系診療科の不足が顕著である.特に整形外科は,高齢化に伴う需要の増加にもかかわらず,地方圏で医師を確保することが難しい状況が続いている.偏在指標によれば,整形外科医の地域格差は内科や小児科よりも大きく,人口10万人あたりの医師数では都市部と地方で約1.8倍の差が生じている.
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