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猛暑が続いています.都市部では50年前と比べて最高気温が4℃以上,上昇しているそうです.小学生の頃,夏は暑いといいながらも,日中は外で遊んでいましたし,ほとんど扇風機で過ごせていたように思います.気象庁のデータによれば,2025年8月5日,群馬県伊勢崎市で気温41.8℃を記録し,観測史上歴代最高気温を更新したそうです.北海道も含めて全国各地で危険な暑さになっています.2020年のPNAS誌に掲載された論文「Future of the human climate niche」によれば,現在と同じペースで温室効果ガス排出が続くと,2070年までに世界人口の1/3が「年平均気温29℃超の地域」(現在はサハラ砂漠の最も高温な地域に相当する)に居住することになるそうです.極端な高温・湿度により,熱中症・農業崩壊・水資源不足・移住・紛争リスク増大といった深刻な事態が懸念されています.このような将来予測がしだいに現実味を帯びてきました.スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの“How dare you!”(よくもそんなことを!)に触発されながら,私も,後悔するだけでなく,いまそれでもできることを行っていきたいと思います.
今月号の特集は「足関節果部骨折—最新エビデンスと治療戦略」です.寺本篤史先生にご企画いただきました.骨折の整復と固定は治療の要ではありますが,足関節機能を十分に回復させるためには,シンデスモーシス損傷を含めた軟部組織損傷に対する評価と治療が重要になっています.本特集では,骨折の分類法,画像診断,初期治療,手術治療,関節鏡視下手術,シンデスモーシス損傷の治療,骨粗鬆症を伴った骨折に対する治療などについて最新情報が提供されています.遠位脛腓間固定へのスーチャーボタンや腓骨骨折への髄内釘など,より低侵襲で軟部組織により優しい材料が選択されるようになってきました.

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