- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
高齢化率が高まり続ける本邦において,骨粗鬆症性椎体骨折は日常診療で最もよく遭遇する脊椎外傷の1つです.その骨折形態や高位,症状,患者背景などはさまざまであり,治療方法も多岐にわたります.保存治療はどこまで有用なのか,予後は予測できるのか,手術を行う際にはどのような術式をいつ行うのがよいのかなど,多くの点を勘案する必要があり,治療方針を決定することは必ずしも容易ではありません.現に当教室が関連病院と定期的に開催している脊椎症例カンファレンスでは,骨粗鬆症性椎体骨折の症例が最も頻回に提示されていることからも,多くの先生方が治療に難渋されていることと思われます.世界に先駆けて超高齢化が進む本邦では,この領域における知見が最も蓄積されている国であると思われます.
そこで本特集では,骨粗鬆症性椎体骨折に関して蓄積された本邦の最先端の知見を整理し集約しました.初めに疫学や症候学など基本的事項を解説していただいた後に,急性期の初期診断と初期治療についてまとめていただきました.また保存治療の重要な柱となる装具治療および運動療法の有用性に関する知見を述べていただき,機械学習を用いた骨癒合不全を予測する最新の情報を解説していただきました.後半では疼痛や神経症状が主体の椎体骨折(椎体骨折後の脊柱変形が主病態の症例は除く)を対象に,balloon kyphoplastyを施行するタイミング,ステントを用いたvertebral body stentingやリン酸カルシウムペーストを用いた椎体形成術の適応や手技に関する解説,また固定術を行う際のスクリュー挿入方法や術式の工夫,使い分け,こつなどについて,それぞれその分野のエキスパートの先生方に解説していただきました.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.