Japanese
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特集 時代とともに変わる精神疾患—その変化の本質を理解する
精神疾患の疫学とその意義
Epidemiology of mental illness
西 大輔
1
Daisuke Nishi
1
1東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野
1Department of Mental Health, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
精神疾患
,
mental disease
,
うつ病
,
depression
,
疫学
,
epidemiology
Keyword:
精神疾患
,
mental disease
,
うつ病
,
depression
,
疫学
,
epidemiology
pp.838-842
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670060838
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抄録
精神疾患の疫学研究は,受療ニーズの把握や経時的な比較および国際比較を可能にするという点で重要である。精神疾患では医療機関を受診しない患者が多いため,医療機関を対象としたデータのみでは実態を十分に反映できず,地域住民を対象とした調査(地域疫学研究)が重要である。ただし,地域疫学研究には回答率が低いという限界もあり,医療機関の受診データとの組み合わせで総合的に理解する必要がある。本稿では,世界精神保健調査日本調査(WMHJ),レセプト情報データベース(NDB),患者調査から得られた日本の精神疾患の経時的なデータを比較検討した。近年,うつ病などの患者数が増加傾向にあるが,受診率の上昇や新型コロナウイルス感染症のパンデミック(コロナ禍)の影響など複数の要因が関与している可能性があり,またそれぞれの研究・調査の特徴を踏まえて知見を解釈することが重要である。

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