Japanese
English
特集 性差と精神医学—なぜ頻度や重症度に差があるのか
精神医学における性差
Gender Differences in Psychiatry
松島 英介
1
Eisuke Matsushima
1
1しろかねたかなわクリニック
1Shirokane-takanawa Clinic, Tokyo, Japan
キーワード:
性差医療
,
gender-specific medicine
,
精神疾患
,
mental disorder
,
うつ病
,
depression
,
不安症
,
anxiety disorder
,
性差の要因
,
factors of gender differences
Keyword:
性差医療
,
gender-specific medicine
,
精神疾患
,
mental disorder
,
うつ病
,
depression
,
不安症
,
anxiety disorder
,
性差の要因
,
factors of gender differences
pp.8-16
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207162
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録
性差医療とは,男女のさまざまな差異に基づき発生する疾患や病態の違いを念頭に置いて行う医療である。精神疾患については,うつ病や不安症が男性に比べ女性で有病率が高く,また最も健康に負の影響が大きいという意味でも,性差医療の対象となることが考えられる。では,なぜうつ病や不安症は女性に多いのであろうか。うつ病では,遺伝的リスクやホルモンなどの生物学的要因,神経症傾向や反芻などの心理的要因,小児期の逆境体験やストレスなどの社会面の要因が男女差の背景として考えられる。また,不安症が女性に多い原因としては,対人関係などの心理社会的要因や,遺伝・ホルモンの変動などの生物学的な要因が挙げられている。さらに,うつ病と不安症は併存してみられることが多く,その際は不安症が先行して慢性化し,うつ病が発症してくる傾向がある。精神医療の中でも,この2つの精神疾患を中心とした病態をさらに研究することで,新たな知見が見出され,それによって患者への理解が深まれば,臨床に大きな貢献を果たすと思われる。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.