早期精神病を抱える若者の自殺を防ぐために

Suicide Prevention for Young People with Early Psychosis

抄録

　統合失調症は，うつ病と同様に自殺の危険性が高い疾患であり，特に発症早期にその危険性は高まることが知られている。残念ながら，自殺の危険性が高いこの時期に治療を受けていない精神病発症危機状態（ARMS）あるいは初回エピソードの統合失調症といった早期精神病を抱える若者は相当数存在することが推察され，彼らの自殺予防対策を考えるうえで精神疾患の早期介入はあらためて重要な対策となる。彼らの自殺関連行動を防ぐためには，時宜を得た適切な薬物療法や心理社会的療法が重要であることは言うまでもないが，社会として彼らの自殺予防に取り組むことが重要である。東邦大学では，若者に向けたワンストップ相談センター「SODA」を開設し，地域における若者の早期支援に取り組んでいる。精神疾患に囚われることなく，広く「メンタルヘルスの不調」を抱える若者として地域社会で早期支援を実践することは，早期精神病を抱える若者の自殺予防対策としても有益であり，今後ますますの社会実装が期待される。