症例
Edwardsiella tardaによる卵管卵巣膿瘍に対して外科的治療が著効した1例
海府 葉
1
,
鷲尾 佳一
1
,
辻本 晶紀
1
,
園田 あゆみ
1
,
前田 美亜
1
,
宮下 幸一
1
,
西野 由香里
1
,
西島 光浩
1
1兵庫県立淡路医療センター産婦人科
pp.1068-1074
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698650790111068
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▶要旨
卵管卵巣膿瘍の起因菌としては,淋菌,クラミジアや腸内細菌などが挙げられる.今回,ヒトへの感染は稀であるEdwardsiella tardaによる卵管卵巣膿瘍および腹膜炎を起こし,敗血症に至った1例を経験した.
症例は43歳,0妊0産.主訴は下痢,腹痛であった.血液検査で炎症反応著明高値,腎機能障害を認め,画像検査では左付属器膿瘍および腹膜炎を認め,抗菌薬投与による内科的治療を開始した.しかし,炎症反応は改善せず,外科的治療を要した.手術後は炎症反応が速やかに改善し,良好な経過であった.
腟分泌液および卵管卵巣膿瘍から検出されたE. tardaは,β-ラクタム系に広く感受性良好な菌であるが,膿瘍を形成すると内科的治療に抵抗性を示し,劇症化する症例があり,難治性の卵管卵巣膿瘍では本菌を考慮する必要があると考えられる.また,本菌を検出した場合は早期の外科的治療を念頭に置く必要がある.

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