増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅳ術後合併症とその管理
精神・神経系
嚥下障害
原 和也
1
,
藤島 一郎
1
Kazuya HARA
1
1浜松市リハビリテーション病院
pp.271-273
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110271
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周術期の嚥下障害の概論
●ICU-acquired swallowing disorders(ICU-ASD)
●ICUの重症患者では,明らかな脳神経疾患や運動器障害がなくとも全身的な筋力低下が生じることがあり,これをICU-acquired weakness(ICU-AW)と呼ぶ1).ICU-AWは呼吸筋や嚥下関連筋に影響を及ぼすことが知られており,嚥下障害に関連する病態としてICU-acquired swallowing disorders(ICU-ASD)が近年注目されている2,3).
●ICU-ASDは2013年に提唱された摂食嚥下障害の概念2)であり,発症機序として以下の6つが挙げられる.①気管挿管による咽喉頭の局所的な損傷,②神経筋障害による筋力低下,③咽喉頭の感覚低下,④意識障害・せん妄,⑤胃食道逆流症,⑥呼吸と嚥下の協調不全.

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