増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅲ術式別の術前・術中・術後管理
小腸・大腸
小腸大量切除術(SMA閉塞などに伴う)
松山 貴俊
1
Takatoshi MATSUYAMA
1
1埼玉医科大学総合医療センター消化管外科・一般外科
pp.154-156
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110154
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術前管理
●病歴,全身状態の評価
上腸間膜動脈(SMA)閉塞症において,SMA血栓症で小腸大量切除を要する患者は全身の動脈硬化を伴うことが多く,SMA塞栓症では心房細動などの不整脈を伴うことが多いため,既往歴を確認することは重要である.また,SMA閉塞症では小腸の虚血時間が短ければ小腸を温存できる可能性があるため,腹痛の発症時間を聴取することが重要である.緊急手術を要することが多く,術前の全身状態,検査データを速やかに確認する.バイタルサインを確認し,血圧低下があればまず細胞外液(ラクテックなど)500 mLの補液を全開で行い,ノルアドレナリンの持続投与を開始する.白血球やCRPで炎症反応の程度を評価し,ヘモグロビン値を確認して高度貧血があれば輸血を考慮する.血小板値や凝固機能検査を含めて敗血症性播種性血管内凝固症候群の評価を行う.電解質異常(Na,K,Clなど)があれば補正を行う.腎不全や肝障害の合併があると術後合併症のリスクが上昇するため,事前に評価し,必要に応じて術後に透析や肝庇護剤(グリチルリチン製剤など)の投与を考慮する.

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