FOCUS
Green Surgeryとはなにか—気候変動と外科のこれからの関係性
中島 清一
1,2
,
富丸 慶人
2
,
銭谷 成剛
1,3
Kiyokazu NAKAJIMA
1,2
1大阪大学大学院医学系研究科 次世代内視鏡治療学
2大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科学
3大阪大学大学院医学系研究科 小児成育外科学
pp.869-874
発行日 2025年7月20日
Published Date 2025/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800070869
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Green Surgeryとはなにか
気候変動が感染症や呼吸器・心疾患を増加させ,メンタルヘルスや妊娠,栄養状態に負の影響を与える,ということは想像に難くないだろう.医療は,本来これら負の影響(健康問題)を解決する「手段」であるはずだが,逆にその医療が環境負荷を増大させる「原因」となっている,としたらどうだろう(図1)?
実は,医療活動で排出される温室効果ガス(GHGs)は地球全体での排出量の4.4%を占めており,これは航空業界の2.5%よりも大きい,とされる1).なかでも外科医療に伴って排出されるGHGsは医療活動全体の1/3を占めるほど環境への負荷が甚大とされ2),われわれ外科医の仕事場である「手術室」は,麻酔ガスを使う,エネルギーを使う,単回使用物品を使う,といった面から,病院のなかで最大のカーボン・ホットスポットになっているとのこと.これは「いやぁ,知らなかったなあ」では済まされないだろ,というのが最近のヨーロッパの人たちの意見なのである.

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