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山鹿市は熊本県北部に位置する人口5万弱の地方都市で,山鹿町から市となった1954年に当時の町立病院が山鹿市立病院となり,改称して現在の山鹿市民医療センターに至っています.独特の技法で作られた山鹿灯籠と優雅な千人灯籠踊りが九州屈指の夏の風物詩と言われ,全国でも有名な温泉地のひとつでもあります.病院自体にも温泉掘削の歴史があり,院内で温泉に入浴できたという話も残っています.
当院の基本理念は「地域住民の命と健康への貢献」です.病床201床で常勤医24名,20診療科を標榜しております.規模の大きい病院とはいえませんが,医療圏の公的病院は当院のみであり,災害拠点病院,救急告示病院,がん診療拠点病院,第二種感染症指定医療機関等の公的な機能をほとんど担っています.診療実績としては年間外来延べ5万人,入院延べ5万人,手術件数が約1,000件程度,近年はコロナによる診療制限でかなり影響をうけましたが,最近回復が見えてきている状況です.外科スタッフは熊本大学消化器外科教室を母体として,病院事業管理者の別府,石河(病院長),増田,辛島,織田の5名体制です.増田医師は肝胆膵外科,辛島医師はヘルニア手術のエキスパートで,織田医師は緩和ケア認定医として緩和医療も担当しています.外科手術は年間200〜250件をベースに近年は腹腔鏡手術が半数程度まで増えています.手術の内訳は少し特徴があり,別府事業管理者の専門である肝臓疾患の紹介が多く,1/3が肝胆道系手術,1/3が胃・大腸等の消化管手術,1/3がヘルニア手術となっています.高難度の腹腔鏡肝切除術の認可施設でもありますが,局所焼灼療法,IVR,化学療法といった多様な治療の選択肢が提供可能で集学的な肝がん治療に積極的に取り組んでいます.さらに熊本県北部で唯一の緩和ケア病棟を有し,緩和ケア認定医2名によるがん患者の緩和医療を行っています.この結果,当医療圏でのがんの診断・治療から終末期まで含めた総合的なケアが可能です.
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