Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「はだしのゲンはまだ怒っている」—漫画『はだしのゲン』の現在位置から見えてくる日本と世界の課題
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.1277
発行日 2025年12月10日
Published Date 2025/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530121277
- 有料閲覧
- 文献概要
2024年に日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞した.それは,ロシアとウクライナ,イスラエルとイラン,インドとパキスタンといった一方あるいは双方が核兵器を保有している国が戦争状態,一時戦闘状態に陥った近年の動向への警告としての意味をもつ.かくも世界は核戦争前夜の様相を呈しているが,それに抗う有効な手段を一つ挙げるなら,世界25か国の言語に翻訳されている漫画『はだしのゲン』(以下,ゲン)である.
しかしわが国では,後に事実上の「撤回」となるものの,2013年に松江市教育委員会がゲンを自由に閲覧できない「閉架」の措置を取るよう市内の全小中学校に求めていたことが発覚し,2023年には広島市教育委員会が,市立小学校3年生向けの平和学習教材からゲンを削除するという方針を出した.
Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

