Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「はだしのゲン」—「差別意識」の克服という難題と向き合う先駆性
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.97
発行日 2026年1月10日
Published Date 2026/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540010097
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教育実践者としての筆者の永遠のテーマは,差別をしない人間の形成可能性である.差別をされている者が,その事態を反面教師として,ただちに差別をしない者へと自己変革を遂げるわけではない.戦争と被爆の実相を描く「はだしのゲン」(監督・脚本/山田典吾:1976年,実写版第一部)1)では,主人公の国民学校2年の中岡ゲンが差別の被害者でありながら加害者として振る舞うシーンがあり,この問題を考える貴重な映像テキストになっている.
ゲンの父・大吉は,戦争への非協力を貫く画家であり,下駄の絵付け職人として生計を立てている.大吉は,竹槍訓練中に放屁を繰り返し,町内会長らを怒らせたうえに途中で帰ってしまう.こうしたことから,中岡家の面々には「非国民」のレッテルが貼られる.
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