特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
3.線溶系の検査
3)プラスミノゲン
広沢 信作
1
Shinsaku HIROSAWA
1
1東京医科歯科大学第一内科
pp.155-157
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903110
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原理・測定意義
プラスミノゲン(plasminogen)は線容系の重要な因子であり,血栓症,出血,DICの患者で測定することが必要である.プラスミノゲンはプロテアーゼの前駆体(protease zymogen)であり,分子量92,000 Daの一本鎖糖蛋白質である.主に肝臓で産生される791個のアミノ酸より成る.5個のクリングルドメインを持ち,フィブリン溶解のためにフィブリンとの結合に重要なリジン結合部位(lysine binding site: LBS)を有している(図1).最初の3つのクリングルドメインがフィブリンとの結合に強く関与している.tissueplasminogen acitivator (tPA),ウロキナーゼ,スタフィロキナーゼ,ストレプトキナーゼなどにより,Arg 561-Val 562間が限定分解され,二本鎖のプラスミンに変換される.形成されたフィブリン上にプラスミノゲンとともにtPAも結合して活性化が効率よく進行することになる.アミノ末端の違いにより,Glu-プラスミノゲンとLys-プラスミノゲンとが存在し,それぞれ活性化されると,Glu-プラスミンとLys-プラスミンに変換する.Lys-プラスミノゲンはLys 77-Lys 78間がプラスミンによって限定分解を受けるためにみられるものである.Lys上プラスミノゲンのほうが,フィブリンとの親和性が高く,プラスミノゲンアクチベーターに対する反応性も高い1).
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