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特集 ALSの治療とリハビリテーション
ALSの在宅医療・緩和ケア
Home-based medical care and palliative care for patients with ALS
中村 明澄
1
Asumi Nakamura
1
1医療法人社団澄乃会向日葵クリニック
1Medical Corporation Sumino-kai Himawari Clinic
キーワード:
協働意思決定
,
多職種協働
,
臨床倫理
,
本人の最善
Keyword:
協働意思決定
,
多職種協働
,
臨床倫理
,
本人の最善
pp.1231-1236
発行日 2025年12月10日
Published Date 2025/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530121231
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はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は,人工呼吸器による高度な医学的管理を必要とすることのある疾患であるが,医療機器の発展や制度の充実,多職種チームによる介入により,最期まで自宅で療養することが可能となっている.一方で,臨床経過が多様であること,胃瘻造設や人工呼吸器導入といった意思決定を伴うことなどから,そのかかわりを難しく感じる方もいるのではないだろうか?
胃瘻や人工呼吸器などの治療は,生命予後を年単位で改善できる可能性がある一方で,全介助での療養生活が長期化するという現実がある.したがって,その選択は容易ではなく,本人の人生観や価値観,家族の思い,介護環境や経済的条件,さらには倫理的な問題など,多面的な要素が影響する.そのため,病院と地域が一丸となり,多職種チームで支える体制の構築が鍵となる.
ALSの多職種連携の効果は,生活の質(quality of life:QOL)の改善,生存期間の数か月延長,入院率の減少や入院期間の短縮などが報告されており1),2009年発表の米国神経学会ガイドライン2)では,多職種連携診療における生命予後延長効果が胃瘻造設や非侵襲的人工換気と同じLevel Bとされ,実施が推奨されている.
ALS患者の在宅療養を支えるうえで向き合う本人の最善を考えた治療やケア,療養場所の選択,家族のサポートなど,さまざまな課題について,必要な知識や考え方を本稿ではお伝えしたい.皆さんのチーム力の一助になれば幸いである.

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