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特集 生成AIが拓くリハビリテーション医療の新境地
「拡張知能」としての医療AIと倫理—アメリカ医師会(AMA)倫理綱領の改訂と含意
Medical AI as augmented intelligence and ethics: Revisions to the AMA Code of Medical Ethics and their implications
井上 悠輔
1
Yusuke Inoue
1
1京都大学大学院医学研究科医療倫理学分野
1Department of Healthcare Ethics, Kyoto University School of Public Health
キーワード:
倫理
,
医師
,
人の関与
,
倫理綱領
,
アメリカ医師会
Keyword:
倫理
,
医師
,
人の関与
,
倫理綱領
,
アメリカ医師会
pp.589-596
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530060589
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はじめに
多くの場合,個々の医師は,他者によって開発された人工知能(artificial intelligence:AI)システムの「ユーザー」として利用する立場にある.一方,AIをめぐって指摘されている懸念,例えばデータのバイアスの問題,人間の観察や制御の外で進化する能力を秘めたこれらのツール(こうした余地をどこまで認めるかも含めて)への対応,責任の所在が複数の関係者にまたがる「多くの手の問題(the problem of many hands)」について,どう対応するべきだろうか.
医師がAIシステムの技術的妥当性を評価できるだけの専門性や機会を有しているとは限らない.この点について,アメリカ医師会(American Medical Association:AMA)は,「とはいえ,医師にも倫理綱領に示された責任に照らして,設計のよいAIシステムを公正かつ責任あるかたちで活用していくための重要な役割がある」としている1).以下,本稿ではAMAにおける医療AIにかかわる検討と問題意識について,現状の展開を紹介する.もちろん,これのみが正解であるとも限らない.米国で提起されている論点を体感しながらも,日本でどうするかを考える必要がある.

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