読者からの手紙
保健婦の倫理綱領を作ろう
中島 紀恵子
1
1北海道池田保健所
pp.9
発行日 1964年1月10日
Published Date 1964/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203005
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「まず自分の幸せをみつめることから」(8月号・読者からの手紙)何よりもまず共感をおぼえました.3カ月たらずの学生生活からよくこれだけのことを感じ,考えられたと感心しました.かえってあなたの思惟を混乱させることになるかもしれないと恐れながらも私にもひとこといわせてもらいたくなってしまいました.約5年僻地で仕事をしておりますがその間ずっとこのことについて考えつづけていました.
このままでゆくと学問的,技術的な投機によって多くの問題は解決されるにしても,その間に基本的な人びとの要求に応じられなくなり,個々の個別的要請や社会的要求からはなれてしまうのではないかという不安がつきまとうのでした.このへんでもう一度看護の基礎になるものは何か,ということを,看護に対する目的観,社会的期待,看護者の地域社会の教育のあり方,保健婦の役割,そして経済的,社会的待遇などの視点から分析,検討しなおしてみる必要を感じます.それらの私見について十分なページがありませんが,私は今,保健婦にとって最も基礎的であるのに最もかけているのは世界観の喪失だと考えます.多分そういったものがあなたのいう「職業意識」や「共感の喪失」に通ずるもののように思われます.
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