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ヘルスケア・医療システムの将来像を見据えたヘルスケア・医療技術開発の方向性
筆者はリハビリテーション医学の専門研究者ではなく,生体医工学,医用精密工学の研究者として,学会や関連する研究活動を通じてリハビリテーション分野の研究者,実際にリハビリテーションに取り組まれている方々と,限定的ではあるが議論をさせていただく機会をもつことができた.そのような活動のなかで,2019年1〜3月,政府の次世代ヘルスケア産業協議会・次世代医療機器開発推進協議会・次世代医療ICT協議会のもとに設置された未来イノベーションワーキンググループに座長として参加し,2040年の本邦のヘルスケア・医療環境を想定し,ヘルスケア・医療分野でいかなる研究開発を進めるべきかについて議論する機会を得た1).
2040年の本邦が直面する課題は,少子高齢化による人口減少に伴う就業者人口の減少に伴う労働力不足と高齢化に伴うヘルスケア・医療サービス需要の増大,さら地方における容易にアクセス可能な医療機関数の減少によってもたらされる,ヘルスケア・医療サービス供給力が需要に追い付かなくなるということである.人口減少のもとでも東京・大阪地区などの都市部では人口増加が予測されており,ヘルスケア・医療サービス分野の就業者数も増加することが予想されているが,人口の高齢化の進行に伴うヘルスケア・医療サービス需要増加は供給を上回ることが予想されており,需給ギャップの増大が生じる.一方その他の本邦の大部分の地域においては,人口減少に伴う労働力人口の減少,これはヘルスケア・医療サービス従事者についても当てはまることであり,ヘルスケア・医療サービスの需給ギャップの増大がやはり予想されている.

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