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特集 医療と福祉の工学連携
企業支援の立場からみた医工連携のポイント—ユーザーイノベーションの創出
Medicine and engineering collaboration required for medical industry development
谷下 一夫
1
Kazuo Tanishita
1
1一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ
1Commons for Medtech Industry Japan
キーワード:
医工連携の認知的壁
,
臨床的価値
,
情報の粘着性
,
ユーザーイノベーション
Keyword:
医工連携の認知的壁
,
臨床的価値
,
情報の粘着性
,
ユーザーイノベーション
pp.475-481
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530050475
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はじめに
以前からわが国の医療現場で使われている診断治療の医療機器は,輸入超過で推移していることが指摘されていた.しかしながら,2015年に,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)が発足し,同時期に東京都医工連携HUB機構も立ち上がり,医工連携による医療機器開発が本格的な日本発の医療機器開発の創出に向けて動き出し,最近では,それらの成果として,わが国独自の優れた医療機器の上市が目立ってきた.
医療機器のユーザーは医療者であることから,医療現場でのニーズに即した医療機器の開発には,高い有用性や安全性が求められる.しかしながら,分野間の壁の厚いわが国では,医療現場でのニーズを円滑に開発につなげることは,必ずしも容易ではない.技術的には優れているものの,医療現場では使えない機器が少なからず出現して,事業化の成功につながらない状況が散見される.これはテクノロジープッシュと呼ばれる.そこで,本稿では,医療ニーズに基づく医療機器開発のあり方に関して,筆者の日本医工ものづくりコモンズの活動から得られた知見をもとに論じてみたい.

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