同名半盲を伴う半側空間無視患者に対する没入型バーチャルリアリティー技術を用いた外出動作の評価

Assessment of outdoor mobility using immersive virtual reality technology for patients with unilateral spatial neglect with hemianopia

要旨　【背景】医療機関における実践的な外出練習は多くの制約が伴う．バーチャルリアリティ（virtual reality：VR）技術は，安全かつ制御されたVR環境でのさまざまな練習を可能とする．本研究では，没入型VRを用いて外出動作の評価を実施した．【対象と方法】半側空間無視および同名半盲を呈した2症例に対し，外出課題を実施した．課題には交差点の横断やバスの利用などが含まれ，横断前の左右確認や車両との接触の有無などを評価した．【結果と考察】VRを用いた評価により，実生活に近い環境下での探索範囲を定量的に評価できた．また，対象者の一人称視点から課題の経時的な遂行状況を質的にも評価でき，実施後に録画を用いてフィードバックを行うことにより，対象者の受け止めの評価も可能となった．VR評価は従来の方法では捉えにくかった側面を明らかにし，半側空間無視患者の評価に有用であると考えられる．