リハビリテーションスタッフのメンタルヘルス

はじめに

　A. R. ホックシールド^1）は「公的に観察可能な表情と身体表現を作るために行う感情の管理」を「感情労働」と呼んでいる．リハビリテーション専門職は，患者とのかかわりや他職種との連携において，相手が納得できる落としどころを模索することがつねに求められ，そこではさなざまな「感情の管理」が必要となることから，まさしく「感情労働者」といえる．

　リハビリテーション専門職の業務形態は，1回の治療に1対1で1時間程度かかわることもまれではなく，その間は基本的に1人で対応しなければならない．患者の気分や状態が不安定な場合であってもつねに寄り添い，自身の感情を調整しながら会話を進めていく．さらに，役割に応じて臨床実習指導など教育や管理の業務も担うようになると，精神的な負担の増大が常態化する可能性もある．こうした背景から，リハビリテーション専門職はストレスが生じやすい職種といえるだろう．