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■はじめに
少子高齢化の進展により,医療提供体制の見直しが求められている.しかも,少子高齢化の進展,そしてそれに伴う傷病構造の変化,医療介護生活ニーズの複合化,医療介護資源の状況には大きな地域差がある.したがって,各地域はそれぞれの地域条件に対応した体制づくりを行う必要がある.地域医療構想はそのために策定されたものであるが,これまでのところその目的を十分に達成しているとは言い難い.現在,2040年を目途とした新たな地域医療構想策定の議論が始まっているが,予定されている検討のスピードで本当に間に合うのかということに筆者は危機感を覚えている.なぜならば,地方の人口構造および医療介護ニーズの変化が急速に進んでおり,2030年くらいを目標年度として議論を行わなければ,過疎地や小規模な地方都市の医療介護提供体制が厳しいものになる可能性が高いからである.病院はそうした地域の安心を支える社会的インフラである.そのインフラを支えているのは,当該地域の病院関係者であるが,彼ら・彼女らのモチベーションを維持する施策上の配慮がなければ,過疎地・地方都市の医療は急速に機能不全に陥ってしまう.現行の診療報酬制度や医療法による基準には,過疎地や地方都市の病院が達成したくても達成が難しい項目が多数ある.しかも,それらの項目は当該病院の果たしている機能とは必ずしも適合していないものも少なくない.例えば,その1つは地域医療支援病院の基準である.都市部の地域医療支援病院と同等かそれ以上に地域に貢献しているにもかかわらず,地域医療支援病院の承認が得られない病院は,診療報酬上不利な立場になる.そうした病院の多くは公立病院であるが,そのような病院に対する一般会計からの補助金に対して,都市部の関係者からは不公平であるという批判が出される.こうした批判は,過疎地や小さな地方都市の医療を支える公立病院の関係者のモチベーションを著しく損なう.公平でかつ公正な評価が必要である.その意味でも,しばしば議論の対象となる地域医療支援病院の基準については再検討が必要な時期が来ている.実行性のある地域医療構想策定のためにも,それは必要であると考える.本稿では,名寄市立総合病院(北海道名寄市)の事例を基に,この問題を考えてみたい.
なお,本稿の記述は,あくまで筆者個人の見解であり,筆者が所属する公的な委員会などのそれではない.したがって,本稿の内容に関する一切の責は筆者に帰するものであることを,あらかじめお断りしておく.

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