“おもてなし”の熟練による顔認知過程を反映する脳波成分の変化

The ERP changes related to face perception process by expertise in Japanese hospitality, “OMOTENASHI”

　われわれは，相手の顔から得られる様々な情報を活用して日常生活を過ごしている。顔から得られる情報の代表的なものには表情があり，われわれは，相手との関係を円滑に進めるために，相手の表情から相手の心情を的確に読み取ったりしている。顔認知過程に関して，古くから心理学の分野で研究が進められてきている^1）。加えて，近年は，非侵襲的な脳機能計測法を用いたヒトを対象とした顔認知に関する研究が数多く行われるようになっている。いろいろな非侵襲的計測法のなかでも，脳波はミリ秒単位の時間分解能を持ち，被験者への身体的負担も少なく長時間の計測も可能である。そのため，脳波は認知情報処理過程の時間的動態を検討するのに有用であり，脳波を用いた顔認知に関する研究が数多く行われてきている。