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あとがき
西口 康二
pp.1202
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790091202
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最近の学会誌を読むたびに,各分野の治療の進歩には目を見張るものがあります。大学で日々診療に携わっていると,自分の専門領域にばかり目が向きがちですが,ふと立ち止まってみると,たとえ専門であってもすべてを深く理解できているわけではないと気づかされます。私自身,網膜硝子体疾患を専門としていますが,本当に自信をもって最新の内容を語れるのは,遺伝性網膜疾患や遺伝子治療の分野くらいかもしれません。
眼科に入門した25年前を振り返ると,当時は診断や治療も今よりずっとシンプルで,重要な論文や治験も限られていました。その分,幅広い分野の文献に目を通すことができました。しかし,気がつけば眼科医療は驚くほど進化し,専門分化も進んでいます。20年後,30年後の未来を想像すると,さらに専門領域が細かく分かれ,大学,病院,クリニックが連携しながら,チームとして多様な専門性を提供していく時代がやってくるのかもしれません。

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