あとがき

　本号から，第78回日本臨床眼科学会での原著論文の掲載が始まり，9報が採用されました。一般投稿論文も7報掲載され，両者で幅広い分野をカバーしており，誰でも1つや2つ読みたくなるタイトルがある，盛りだくさんの内容になっています。読者の皆様には，お気に入りのトピックをピックアップして気楽に目を通していただければと思います。

　また，「今月の話題」では，緑内障におけるOCT・OCTAの解釈の基本と，その緑内障診療において注意すべきポイントを名古屋大学の冨田遼先生がわかりやすくまとめており，専門外の眼科医にとってはありがたいレビューとなっています。Clinical Challengeでは，国際医療福祉大学の臼井智彦先生により，角膜移植後の病変が取り上げられています。門外漢の筆者も設問にチャレンジしましたが，あえなく撃沈となりました。しかし，症例の解説が秀逸で，非常にわかりやすく角膜移植後の診療について解説してあるのでおすすめです。そのなかで，「角膜脂肪変性を診たら角膜ヘルペスの既往も疑うべき」というフレーズがあり，昔，角膜専門の先生に「よくわからない角膜上皮症をみたらヘルペスを疑え」と言われたのを思い出しました。専門性が高度に進化した現代の眼科学でも，基本的なことが変わらないことに内心ほっとしています。それと同時に若いときの幅広い診療経験の重要性も痛感することとなりました。