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今回の特集では、わが国による入国前結核健診事業(以下、JPETS)が間もなく導入される中で、国内での結核登録患者ゼロを目指す上での障壁の一つである外国生まれ結核患者への対応に関連し、入国前・滞在中・出国後の各段階における外国生まれ結核患者の早期診断と確実な治療を提供するための方策を考えるための基本的情報を提供します。
(公財)結核予防会国際部の小野崎郁史先生には、結核低まん延工業先進国における結核ゼロに向けた結核対策について、WHOによるEnd TB StrategyやWHO European Regionによる結核戦略を踏まえ、特に移民を対象とする対策の動向を中心に執筆いただきました。国際移住機関(IOM)駐日事務所の髙橋香先生には、2024年に導入されるJPETSの概要の紹介と情報マネージメントシステム(JIMS)の役割、現地健診医療機関の役割、事業全体の課題と展望について、諸外国による入国前結核健診の実施状況も含めて執筆していただきました。(公財)結核予防会結核研究所対策支援部の座間智子先生には、外国生まれ結核患者の早期発見と患者中心のケアを提供するための課題と展望について、結核予防会外国人結核相談室の活動からまとめていただきました。大阪市保健所感染症対策課の井村元気先生には、外国生まれ結核患者の早期発見と適切なケアを提供するための課題と展望について、大阪市保健所での取り組みを含めてまとめていただきました。国立国際医療研究センター病院呼吸器内科の橋本理生先生には、外国生まれ結核患者の診断と治療に関する課題と展望について医療機関の立場から、同 国際診療部の小山内泰代先生には、外国生まれ結核患者の適切なケアを提供するための課題と展望について医療コーディネーターの立場から報告していただきました。(一社)全国医療通訳者協会の森田直美先生には、外国生まれ結核患者中心のケアを提供するための課題と展望について、地方における医療通訳者の人材が不足する状況において、スマートフォン等の情報技術を活用した医療通訳の実際例を含めて医療通訳者の立場から課題と展望についてまとめていただきました。TB Action Network所属のPham Nguyen Quy先生、Do Dang An先生、李祥任先生には、外国生まれ結核患者の早期発見と適切なケアを提供するための課題と展望について、地方における支援例を含めて在日外国人支援NGOの立場から報告していただきました。最後に、筆者(公財)結核予防会結核研究所臨床疫学部の大角晃弘は、日本国内滞在中に結核と診断されて結核治療を開始した外国生まれ結核患者が、結核治療中に帰国する場合の帰国後治療継続支援の課題と展望についてまとめました。
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