連載 新型コロナウイルス感染症のパンデミックをめぐる資料、記録、記憶の保全と継承—「何を、誰が、どう残すか」を考える・7
記憶を残すためのインタビューという仕掛け
安岡 健一
1
1大阪大学文学部
pp.648-651
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890070648
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はじめに
新型コロナウイルス感染症に関して「何を、誰が、どう残すのか」をテーマとするこの連載、今回はインタビュー(以下、聞き取り)による記憶の保存と継承について取り上げてみたい。
筆者は日本の近現代史の研究者で、特に戦時期から高度成長期にかけての時代を研究してきた。それがこの連載で執筆することになったのは、オーラルヒストリーと呼ばれる方法について研究していること、そして大学生や大学教職員、大学を訪れた人々にコロナ禍の経験を聞き取った記録である『コロナ禍の声を聞く』(図1)という書籍を学生と共に制作したからであろう。
以下、聞き取りによる記憶の記録化の動向や特徴、そして実践の紹介と今後の展望について述べていきたい。

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