発行日 1948年3月15日
Published Date 1948/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906293
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アメリカ醫學のすばらしいさいきんの成果をみていると,何かわれわれとちがつた段階でアメリカの醫學者あるいは研究者は活動しているのではないかという氣がしてきます。研究室のなかで立派な研究がなされ,その結果をいろいろの機會に知ることができて,すごいものだとおどろいていろとさにはすでにその研究にもとずいた治療法なり薬品がどんどん一般のひとびとの間に利用されていろのを知つてさらにおどろきの目をみはるのです。たとえば今日だれでもよく知つているペニシリンにしても,その效果はすばらしいにしても温度を攝氏の5度以下にして保つておく必要は一般にはやはり不便たことがあるとおもつていると,すでにそう温度のえいきようをうけないで長く效力を保つことのできるペニシリンができてくると,つぎにはペニシリンの效力をできるだけながく體内にとゞめておくために特別の溶媒をつかつたのができるというように,たゞ研究だけが學者こよつておこなわれているだけでなく,この最高の研究の結果がすぐにひとびとの役に立つように一般化されるという,今までのどこの國でまみられなかつた特色をもつて發展しているように考へられるのです。
では一體今日人類にこんなに大きなこうけんをしているアメリカの醫學はどうしてできあがつてきたのでせうか。そのことをしるために一應前の時代のアメリカの醫學によつて,のぞいてみることにします。すなはち19世紀のアメリカの醫學はどんな状態であつたかということです。
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