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はじめに
近年,非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)の国際的呼称は代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:MASLD)へと変更された.MASLD患者の集団は従来のNAFLDと大部分が重なるが,診断基準は異なり,以下が含まれる.
①脂肪肝の存在
②飲酒量(エタノール換算)が男性で210g/週,女性で140g/週
③心代謝リスク因子を少なくとも1つ以上有すること
上記の変更によって“アルコールを飲まない脂肪肝”という消極的定義から,代謝異常を背景とした病態を積極的に捉える方向へとシフトした.糖尿病診療において脂肪性肝疾患(steatotic liver disease:SLD)を単なる併存症としてではなく,代謝異常の一環として積極的に捉え,治療方針に反映すべきことを示す重要な変化である.現在,SLDは①MASLD,②MetALD(MASLDに中等量飲酒が併存),③ALD(大量飲酒による脂肪性肝疾患),④特定成因SLD(薬剤性,Wilson病,ウイルス性肝炎など)の4群に分類される(図1).
特にMetALDを独立カテゴリーとした点は,代謝異常と飲酒の双方が関与する症例を明確に拾い上げられる点で実臨床的である.MASLDと糖尿病は互いに病態を悪化させる双方向性の関係にあり,心血管疾患や腎障害など全身合併症のリスクを高める.そのため,日常診療ではMASLDを見逃さないことと,臨床検査データを活用した評価と多職種による管理が糖尿病患者の予後改善に不可欠である.

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