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はじめに:専門基礎を“生活と臨床”でつなぐ
筆者は管理栄養士として、大学の管理栄養士養成課程において生化学(実験を含む)や基礎栄養学(実験を含む)などの基礎系科目を担当している。生化学などの専門基礎分野は、研究的な理解に重点が置かれがちであるが、筆者は管理栄養士の立場から、臨床や生活の中で「どのように使われる知識か」を意識した授業構成を行ってきた。こうした経験を通して、専門基礎分野が看護の学びや臨床判断にどのように接続し得るのかを考えてきた。
栄養学は、食を通して身体と心、そして生活全体を理解する学問である。しかし、看護教育における専門基礎科目としての栄養学は、国家試験対策のための知識に偏りがちで、患者の生活や臨床判断とのつながりを実感しにくいという課題がある。とりわけ、日常に近い内容であるがゆえに「知っているつもり」になりやすく、生活体験から理解を深める丁寧な導入が必要となる。
本学の「栄養学」では、食事選択の基本、栄養素の機能と代謝、栄養状態の評価、ライフステージ別の栄養管理、疾病時の栄養療法などを体系的に学ぶ。これらは、看護職が対象者の生活と身体の変化を理解し、適切な判断につなげるための基盤となる。授業は全15回で、筆者は糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルの5回を担当している表1。これらの授業は、看護学生にとって栄養学の理解を深める入り口であり、臨床で患者を理解する際の重要な土台となる。
授業後の学生の感想からは、栄養学が自身の生活理解を支え、看護の思考を広げている様子が表れていた。本稿では、筆者の授業の工夫を提示した上で、その授業を通してみられた学生の理解段階の広がりについて述べる。

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