特集2 看護教育におけるコンセプト学習の可能性
―コンセプトの持つ力とは②―コンセプト学習導入への実践的手引き
遠藤 みゆき
1
1関西学院大学教職教育研究センター
pp.313-319
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.004718950660030313
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看護教育における「看護師のように考える」ことと概念的理解の意義
看護教育において筆者が注目するのは、「看護師のように考える」という視点である。看護には、生物学や心理学、統計学、行動学、社会学、文化人類学など多様な学問領域の知識が関わっており1)、看護師には、サイエンティストや数学者、哲学者、そして対人関係に長けた優れたコミュニケーターのような視点から物事を捉え、それらを統合して判断する能力が求められる。
このような複雑な思考を支える枠組みとして有効なのが、エリクソンとラニングによる「概念型カリキュラム(Concept-Based Curriculum)」の考え方である。彼らは学びを「知識の構造」と「プロセスの構造」という2つの軸で捉えている2)。前者は事実(fact)をもとに普遍的な「一般化(generalization)注1」を導き出す枠組みであり、後者はスキルやストラテジー(方略)の習得から出発し、複雑なプロセスを経て判断や意思決定へとつながる深い理解(「一般化」)へと導く枠組みである[図1]。

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