書評
—中野 弘康 著—《ジェネラリストBOOKS》—集中講義! おなかの身体診察—フィジカル&腹診で腹部症状に立ち向かえ
野々垣 浩二
1
1大同病院
pp.1545
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620101545
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医師の仕事は「Calling-天職」と著者は語る.私たち医師は,自分の仕事を「天職」と自信をもって語ることができるだろうか?本書からは,著者の強い使命感と,「自分がやらなければならない」という強い覚悟が,ひしひしと伝わってくる.この本は,単なる診察マニュアルではなく,内科医としての著者自身の物語が込められた一冊である.
著者は,西洋医学と東洋医学を融合させて診療をきわめて丁寧に言語化している.宗教でも,医学でも,どちらが優れているかではなく,重要なのはバランスである.西洋医学と東洋医学のハイブリッドアプローチの価値を,この本を手に取れば誰しもが理解できるだろう.コロナ禍で医療者はかつてない経験をした.大切なことは,それを単なる「経験」で終わらせるのではなく,「どう行動変容につなげるか」である.著者は,COVID-19後遺症で苦しむ患者の声に耳を傾け,東洋医学を自身の診療に取り入れた.その姿勢からは,医師としての柔軟性と深い共感力が伺える.

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