書評
—中野 弘康 著—《ジェネラリストBOOKS》—集中講義! おなかの身体診察—フィジカル&腹診で腹部症状に立ち向かえ
寺澤 佳洋
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1口之津病院総合診療科
pp.1492
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620091492
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私たちは診療の過程で,「dual process思考」と呼ばれる2つの異なる思考様式を使い分けているとされる.一般的には,直感的思考(System 1)と分析的思考(System 2)に分類され,本書のメインテーマである腹診にも,これらの思考が活用されている.
例えば本書では,“高山の圧痛点”に圧痛を認めたとき,直感的には膵炎を想起する.しかし,それだけでは早期閉鎖(思考停止)に繋がりかねないため,分析的思考へと切り替え,さらなる身体診察が求められる.そうしたときに有用な所見として,本書ではMallet-Guy徴候などが紹介されており,急性膵炎の診断確度を高めたり,逆に下げたりする判断材料となる.また,高山の圧痛点やMallet-Guy徴候を含め,多くの身体所見については,診察時の患者の体位を含めた写真が掲載されており,理解を助けてくれる.

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