特集 精神科×内科—患者と家族を支えるために知っておきたい見えない“こころ”のこと
特定の疾患や状況への対応
神経性やせ症における栄養管理および身体科,プライマリ・ケアとの連携について
小川 晴香
1
,
白石 直
1
,
明智 龍男
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
キーワード:
神経性やせ症
,
refeeding症候群
,
身体科との連携
Keyword:
神経性やせ症
,
refeeding症候群
,
身体科との連携
pp.1040-1044
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620071040
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Point
◎神経性やせ症は,精神疾患のなかでも最も高い死亡率を示す重篤な疾患である.治療の第一選択は精神療法であるが,著しい低体重を認める場合は,まずは体重回復による身体的な安定が優先される.
◎神経性やせ症の栄養管理ではrefeeding症候群への留意が必要だが,近年はunderfeedingの問題も明らかになっている.refeeding症候群のリスク因子を認識し,適切に対応することが重要である.
◎早期の体重回復は予後良好因子であり,身体的要因が否定されれば専門医療機関への紹介が望ましいが,身体管理だけでなく患者の治療への動機付けの強化という意味でも内科やプライマリ・ケアでの継続した診療の意義は大きい.
◎神経性やせ症患者は,「体重を増やすのは怖いけど,本当は元気になりたい」という両価性を抱いているということを診療に携わる全ての医療者が理解することが重要である.

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