フィブリン糊を用いた分層植皮術による再建を行った外陰部乳房外Paget病の1例

A case of extramammary Paget's disease treated with split-skin grafting using fibrin glue

要約　70歳台女性．初診1年半前に外陰部の瘙痒性皮疹が出現し，前医を受診．皮膚生検で乳房外Paget病と診断され，加療目的に当科を紹介され受診した．初診時，病変は恥骨から肛門背側にわたる陰裂全周囲に認めた．Mapping biopsyの後，根治切除術を施行した．肛門部と肛門管内に切除範囲が及ぶことより消化管外科と相談の上，再建は分層植皮術を選択した．また，出血リスクがあり植皮部の構造が複雑であったため，フィブリン糊（ベリプラスト^®P）を用いた．フィブリン糊は迅速な組織の接着・閉鎖が可能であり，止血効果を有する．その一方で血液製剤であるため，ウイルスなどの予期せぬ感染症リスクがあり，患者への十分な説明と同意書の取得が必要である．特に女性の外陰部や肛門周囲のように凹面と凸面が入り混じり複雑な構造を形成し，出血リスクのある植皮片固定困難部に効果が期待される．