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マスターセラピストが語る 家族療法のターニングポイント

インタビューで辿る革新の軌跡

マスターセラピストが語る 家族療法のターニングポイント
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筆頭著者 吉川 悟 (監訳)

その他の著者等 志田望,田中智之,赤津玲子,伊東秀章 訳

原著者 David Denborough

金剛出版

電子版ISBN 978-4-7724-9735-0

電子版発売日 2025年8月22日

ページ数 176

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-7724-2104-1

印刷版発行年月 2025年7月

DOI https://doi.org/10.69291/9784772497350

書籍・雑誌概要

家族療法は、精神分析治療が主流であった1960年代初頭のアメリカに登場し、個人の心理的問題を関係性の変化により解決する新たなアプローチとして注目を集めた。システム思考を臨床に導入し、階層構造やフィードバックを取り入れた家族療法は,70年代にかけて隆盛を極める。

しかし80年代に入ると、この領域は大きな理論的・思想的転換期を迎える。フェミニズムのインパクト、セカンドオーダー・サイバネティクス、社会構成主義の潮流を受け、これまで家族療法を支えてきた前提が問い直され、それに応じて新たな実践形態も現れた。家族を「制御し修正すべきシステム」と見なし介入する視点から、家族を「意味を生成する共同体」と考え関与する視点へ。家族療法家は関係のアセスメントと介入の専門家であるだけでなく、多様な声や物語に耳を傾け、好奇心と協働を通じて家族と関係を築く専門家の役割をも担うようになった。

この変化を生き抜いたマスターセラピストたちへのインタビューは、家族療法の理論的転回と実践の変容を、それぞれの経験と思索を通して照らし出す貴重な証言である。彼らの言葉は、過去の回顧にとどまらず、現在の私たちが家族療法の倫理と可能性を再考するうえで重要な視座を与えてくれる。

目次

目次
イントロダクション…デイヴィッド・デンボロウ
2000年前後の家族療法―訳者まえがきに代えて…吉川悟・志田 望
インスー・キム・バーグ「解決を見据える」
サルバドール・ミニューチン「個人療法から家族療法への必然的な旅路」
モニカ・マクゴールドリック「「家」をつくる」
ジャンフランコ・チェキン「システミック・プラクティス」
オルガ・シルヴァースタイン、マーガレット・ニューマーク、クリス・ビールス「歴史の断片と目下の課題」
トム・アンデルセン「家族療法のリフレクティング」
ペギー・パップ「変わりゆく家族療法のプロセス」
カール・トム「われわれ自身の権力行使に働きかける」
マイケル・ホワイト「家族療法におけるナラティヴ・メタファー」
ペギー・ペン「言葉とともに」
ジェフリー・ザイグ「ミルトン・エリクソンの影響」
リン・ホフマン「家族療法の私的な歴史」
デイヴィッド・エプストン「文化人類学、アーカイブス、共同調査、ナラティヴ・セラピー」
解説:初期から現在までの家族療法…吉川 悟