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脳卒中の社会学

新しい自分を生きる

脳卒中の社会学
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筆頭著者 細田 満和子 (著)

青海社

電子版ISBN

電子版発売日 2024年7月2日

ページ数 260

判型 A5

印刷版ISBN 978-4-910548-10-4

印刷版発行年月 2024年2月

DOI https://doi.org/10.57286/9784910548104

書籍・雑誌概要


 人生の途中で重い病いや障がいをもつことは、身体的な痛みだけでなく、精神的・社会的な痛みを伴う。今までとはまったく異なる世界に連れ込まれたような気持ちになり、「希望」を失い、「絶望」の状況に追い込まれる。
 やがて危機としてしか捉えられなかった脳卒中の後の現実を、人々は自分のものとして受け入れてゆく時がくる。〈生きる〉ための試行錯誤において、人々は医療専門職や家族や同病者などの他者と決定的に重要な関係を切り結ぶ、つまり「出会い」がある。人々は何年も、時には10年以上も,先が見えないトンネルの中を歩くような気持ちで日々リハビリ訓練に励み、新しい身体に慣れつつ、新しい生活をつくり上げ,〈生きる〉という方向に向かおうとしている。
 医療専門職になることを目指す学生、現場を志向する医療社会学などを学ぶ人が、脳卒中者の新しい自分をつくり上げようとする過程を学ぶ人生のテキストにもなっている。

目次

はじめに ⅲ

序章 脳卒中サバイバーとの「出会い」
1.脳卒中を〈生きる〉ということ 2
2.病いを得て再び〈生きる〉という挑戦 3
3.脳卒中者としての手記より 4
4.統計に現れる脳卒中 5
5.病いを持つ人々との「出会い」 6
6.人々の声を聴き取る 8
7.本書の概要 14

第Ⅰ章 「絶望」の中から再び〈生きる〉
第1節 〈生〉を成り立たせる5つの位相
A.〈生〉の5つの位相 24
B.5つの位相の危機 25
第2節 脳卒中後遺症とともに〈生きる〉
A.脳卒中による「絶望」 28
B.「新しい自分」の発見 29
C.「出会い」と「変容」 31
第3節 本書の意義
A.「社会的疎外状況」から「共に生きる社会」へ 33
B.「弱い主体」の可能性の提示 34
C.患者会やピアサポートの意義 36

第Ⅱ章 〈生きる〉ことの危機―自明な世界の崩壊
第1節 脳卒中の発症
A.突然の発症 40
B.自明な世界の崩壊 43
第2節 危機の諸相
A.生命の危機―第1の位相 46
B.コミュニケーションの危機―第2の位相 49
C.身体の危機―第3の位相 53
D.家庭生活の危機―第4の位相 58
E.社会生活の危機―第5の位相 66
第3節 人として〈生きる〉ことの危機
A.〈生〉の統合性の喪失 73
B.未来を絶たれる―「治りません」 79
C.死への衝動 82

第Ⅲ章 病いの現れ―〈生きる〉ための試行錯誤(1)
第1節 生命の危機からの試行錯誤―第1の位相
A.救命救急医療 88
B.リハビリテーション医療 91
C.訓練室での訓練 94
D.スケジュール外の病院での訓練 97
E.回復への「希望」を持つ 99
第2節 コミュニケーションの危機からの試行錯誤 ―第2の位相
A.言語訓練 103
B.「治る」ということ 106
第3節 身体の危機からの試行錯誤―第3の位相
A.入院中のリハビリ訓練の困難 109
B.入院中の試行錯誤 112
C.退院後の試行錯誤 114
D.身体の回復 118
E.回復の再定義 129
第4節 家庭生活の危機からの試行錯誤―第4の位相
A.采配する家族 135
B.家族の形を変える―介護の形 139
C.家族のために働く―経済的状況 143
第5節 社会生活の危機からの試行錯誤―第5の位相
A.復職 146
B.通勤のための試行錯誤 150
C.仕事をするための試行錯誤 153

第Ⅳ章 病いの受け容れ―〈生きる〉ための試行錯誤(2)
第1節 生命の受け容れ―第1の位相
A.受け容れるということ 160
B.「障害受容」の陥穽 161
C.それぞれの受け容れ 164
第2節 コミュニケーションの困難の受け容れ―第2の位相
A.コミュニケーションのための道具 168
B.話せないことを受け容れる 171
第3節 身体の受け容れ―第3の位相
A.移動のための試行錯誤 175
B.身体の可能性を見出す 181
C.新しい身体に「慣れる」 185
第4節 家庭生活の受け容れ―第4の位相
A.家族が生き方を変える 187
B.家族をかえりみる 191
第5節 社会生活の受け容れ―第5の位相
A.職業生活の回復の困難―復職への障壁と断念 199
B.復職してからの困難 201
C.新しい生活 205

第Ⅴ章 「出会い」と「変容」―「新しい自分」になる
第1節 「出会い」―重要な他者との相互行為
A.医療専門職との「出会い」―フォーマル/インフォーマルな関係 214
B.家族―改めて「出会う」 219
C.同病者―仲間 223
第2節 他者の「変容」
A.医療専門職が変わる―制度外で支援すること 228
B.家族が変わる 231
C.同病者の中で変わる 233
第3節 「新しい自分」になる
A.「笑える」ようになる―「命日」と「誕生日」 237
B.「変容」と「持続」 242

終章 再び〈生きる〉ために
1.〈生〉の統合化―危機の中から立ち上がる主体 246
2.病いの経験―多様性に開かれる契機 247
3.「弱い主体」が〈生きる〉 249
4.患者が変える医療社会 251

おわりに 255
参考文献 257

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