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ちょっと困った背景を持つ糖尿病の診かた 基本をクリアしたすべての糖尿病診療医へ捧げる
筆頭著者 北澤 公 (編)
がん研究会有明病院糖尿病・代謝・内分泌内科
その他の著者等 河合俊英 編集協力
金芳堂
電子版ISBN
電子版発売日 2023年7月7日
ページ数 326
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-7653-1960-7
印刷版発行年月 2023年6月
書籍・雑誌概要
常診療で出合うちょっとレアな糖尿病や、少しややこしい合併症の症例に対してあなたはいつもどう対処していますか? 現状、ガイドラインで標準化されていないために、絶対にこうすべきであるという答えはありませんが、その道のエキスパート達が具体的な診療法について丁寧に解説します。
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序文
糖尿病治療の目標は合併症の発症や進行を抑制することですが、実臨床では既に進行してしまった糖尿病合併症を持つ患者さんや、血糖コントロールを困難にする併存症を持った患者さんも少なくありません。また生活背景を含め様々な理由で薬物療法が十分に強化できない場合もあります。使いやすくて有効性の高い糖尿病治療薬が続々と登場し、薬物療法のアルゴリズムも整備されてきている現状においてもなお、治療方針に悩まされる糖尿病患者さんに出会うことは少なくありません。
このような難しいケースに対してどうアプローチするか、当然のことながら明確なガイドラインは存在せず、こうするのが一番であるという答えがあるわけでもありません。実臨床の場ではそれぞれの患者さんの背景や病態に応じて、各先生方の豊富な経験に基づき工夫をして治療にあたっておられることと思います。時には妥協もしながら、患者さんにとって最善と思われる治療方針を個別に考えなければならないのが糖尿病診療の難しさですが、こういう場面こそ糖尿病診療医の腕の見せ所であり、大きな醍醐味でもあると思います。
本書では、このような「合併症が進行してしまった糖尿病患者さん、誰もが治療に困る背景を持つ糖尿病患者さん」に対して、現時点でのエビデンスを可能な限り踏まえつつも、第一線でご活躍の先生方によるいわば「エキスパート・オピニオン」をお示しいただき、実臨床で具体的にどのような治療を選択するべきか、ベスト・プラクティスを一冊に集約しました。
糖尿病患者さんのより良い未来のために、本書が先生方の日常診療のお役に立てることを願っております。
目次
はじめに
PART1 糖尿病合併症編
01 虚血性心疾患における血糖コントロール
糖尿病患者における冠動脈疾患
CABG周術期における血糖コントロール
虚血性心疾患“慢性期”における糖尿病内科としての治療
虚血性心疾患既往患者の血糖コントロール
こういうときにはこうする!
おわりに
02 心不全を合併した糖尿病の管理
心不全Stage Bの糖尿病管理
心不全管理
HFpEF
循環器内科との連携ポイント
最後に
03 脳血管疾患を合併した糖尿病の管理
脳血管疾患と糖尿病
脳血管疾患を合併した糖尿病患者の急性期血糖管理
脳血管疾患を合併した糖尿病患者の慢性期血糖管理
04 糖尿病性腎症を合併した糖尿病の管理(透析導入前)
腎不全における糖代謝の特殊性
腎症患者における血糖管理指標
腎症合併糖尿病患者における血糖コントロールの意義
腎機能低下時における糖尿病薬の制約
糖尿病薬による腎症抑制効果
糖尿病性腎症患者を対象とした心血管アウトカム試験
05 糖尿病性腎症を合併した糖尿病の管理(透析導入後)
糖尿病患者に対する腎代替療法
透析療法期の糖尿病治療の一般方針
糖尿病薬の選択
腹膜透析患者における糖尿病薬使用上の注意
移植療法
06 糖尿病網膜症を合併した糖尿病の管理
はじめに
糖尿病網膜症を合併した2型糖尿病の治療
糖尿病網膜症治療にあたって注意すべき合併症
視力障害時のインスリン注射と血糖測定
糖尿病網膜症の内科的治療に関する臨床研究
症例の解説
07 糖尿病性神経障害を合併した患者の管理
糖尿病性神経障害の症状
糖尿病性神経障害の診断
糖尿病性神経障害の治療
糖尿病性足病変とフットケア
08 糖尿病足病変を合併した糖尿病の管理
糖尿病足病変とは
「糖尿病足病変」や「傷」を合併する患者を見つけた時には
本症例の場合
他科との連携のポイント
PART2 生活指導編
01 生活習慣/服薬アドヒアランスが悪い患者の糖尿病管理
生活習慣改善のエビデンスと心理学的抵抗
座りがちの生活対策
体重管理の戦略
服薬アドヒアランス向上の戦略
02 海外渡航をする患者の糖尿病管理
海外旅行前の準備
空港~移動中
旅行中の食前インスリン量の調整
途上国訪問時の注意
PART3 高齢者糖尿病編
01 高齢者で自己注射が困難な場合の糖尿病管理
糖尿病と認知機能障害
高齢者糖尿病におけるアドヒアランス低下
高齢者糖尿病における認知機能の評価とカテゴリー分類
インスリン分泌の評価
自己注射が困難な場合の糖尿病治療
自己注射が困難な場合の糖尿病治療(各論)
02 高齢者で認知症がある患者の糖尿病管理
糖尿病治療中に認知機能低下が疑われた場合
インスリン自己注射が困難になった場合
PART4 がんと糖尿病編
01 胃・食道切除術後の糖尿病管理
食道切除
胃全摘後の血糖管理
化学療法によるステロイド投与時の血糖管理
02 膵切除後の糖尿病管理
膵部分切除後の血糖管理
膵全摘後の血糖管理
03 経管栄養の糖尿病管理
経管栄養の血糖変動の特徴
経腸栄養剤を持続投与する場合の薬物療法
経腸栄養剤を間欠投与する場合の薬物療法
経腸栄養剤の選択
04 がん化学療法中の糖尿病管理
ステロイドの糖代謝への影響
ステロイド投与時の血糖管理
食事摂取量が低下したときの血糖管理
05 がん治療で食事療法が困難になった場合の糖尿病管理
味覚障害時の栄養管理
食思不振時の栄養管理
極端な食事療法と低栄養
がん治療で食事療法が困難になった時の血糖コントロール目標
06 がん終末期の糖尿病管理
がん終末期の血糖コントロール目標
がん終末期の食事療法
がん終末期の糖尿病治療薬
食事が食べられなくなった場合の血糖降下薬の減量、中止
インスリン治療を行っていた症例への対応
最後に
PART5 様々な背景を持つ糖尿病編
01 移行期の糖尿病管理
はじめに
移行期医療とは
小児期発症糖尿病の移行期医療に必要な自立支援と医療体制とは?
移行期に入る患児が自立しているか、両親・保護者が患児の自立度を理解できているか
どうやって糖尿病専門の内科医を見つければよいのか、どうやってインスリンポンプに精通した内科医を探せばよいのか
おわりに
02 不安定な血糖変動を示す1型糖尿病の管理
基礎インスリンの適切な構築が大切
ソモジー効果と暁現象の鑑別が重要
カーボカウントの活用が重要
不安定型糖尿病の要因の一つとして、インスリン抗体の関与を疑うことが重要
自律神経障害による不安定型糖尿病の可能性を疑うことが重要
注射部位の確認が大切
心理的な問題を抱えている場合は、チーム医療で対応することが大切
03 高度肥満を合併した患者の糖尿病管理
本症例における生活習慣上の問題点
食事への介入
症例の経過
スリーブ状胃切除術
04 NASHを合併した患者の糖尿病管理
糖尿病と肝疾患
症例への治療法
05 肝硬変を合併した患者の糖尿病管理
糖尿病と肝硬変の総論
肝硬変における血糖コントロール指標の検査
肝硬変合併糖尿病患者への治療内容
06 妊娠糖尿病
妊娠糖尿病の定義と診断基準
妊娠糖尿病の病態
妊娠糖尿病の管理
産後の妊娠糖尿病の管理
07 糖尿病合併妊娠の管理
糖尿病女性のプレコンセプションケア
糖尿病合併妊娠の妊娠中の管理方法
症例に対する血糖管理
08 膠原病でステロイドを投与されている患者の糖尿病管理
はじめに
ステロイド投与による血糖変動のパターンと治療選択について
経口血糖降下薬およびGLP-1受容体作動薬を用いる場合
インスリン治療:外来患者の場合
インスリン治療:入院患者の場合
09 HIV感染症と糖尿病
糖尿病とHIV感染症の疫学について
抗HIV薬における糖尿病の発症との関連について
HIVと糖尿病の合併時の代表的な血糖降下薬の選択について
免疫再構築症候群と糖尿病
最新のtopic:一部の抗HIV薬における体重増加
症例に対する治療法
最後に
10 抗精神病薬と糖尿病管理
精神疾患と糖尿病
抗精神病薬と糖尿病
抗精神病薬服用時の血糖管理
食事や運動にこだわりがある症例
精神疾患の症状悪化により食事療法困難な症例
抗精神病薬と経口血糖降下薬を服用している2型糖尿病合併統合失調症の症例