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科学技術の失敗から学ぶということ リスクとレジリエンスの時代に向けて
筆頭著者 寿楽 浩太 (著)
オーム社
電子版ISBN
電子版発売日 2020年7月6日
ページ数 208
判型 四六判
印刷版ISBN 978-4-274-22566-6
印刷版発行年月 2020年6月
書籍・雑誌概要
「覆水盆に返らず」起こってしまった結果から未来を考えよう!!
本当に科学技術の失敗から学べているのか。もしうまくいっていない部分があるとしたらそれはなぜなのか。そういう問題点を乗り越える方法はないのか。
科学技術の社会学を専門とする筆者は、工学と社会科学の間を往来しながら、工科系の大学の授業で、そうした問いに取り組んできました。
本書はその経験を踏まえて、現実に起きた事件を通して、これらの問いについてできるだけ平易に、しかし同時に深く考え、答えを試みようとするものです。
目次
第1章 タコマ橋とコメット「失敗から学ぶ」サクセスストーリー
「失敗から学ぶ」というパラダイム
新時代の合理化設計でつくられたタコマ橋
タコマ橋の崩落
コメットの連続墜落
「金属疲労」に関する学び
未知との出会いとイノベーション
ただ、失敗から学んでも……
進歩の時代と失敗からの学び
第2章 機体が言うことを聞かない!何が最新鋭機を墜落させたのか(1)
魔の2分間
「着陸やり直し」の謎
ブラックボックスが記録した「ミス」
言うことを聞かない機体
人間不信が生んだ落とし穴
セールスポイントとしての「さらなる安全」
第3章 高度がおかしいぞ!何が最新鋭機を墜落させたのか(2)
つかなかったランプ
「電球」に夢中
空白の4分間
会話の「あや」の落とし穴
ミスを防ぐには?
あちらを立てればこちらが立たず
第4章 「チャイナ・シンドローム」巨大技術の事故は防げないのか
映画「チャイナ・シンドローム」とスリーマイル島原発事故
多重防護の破れ
ヒューマン・ファクターへの注目
巨大技術の失敗は防げない?
事故が起こるのが「ノーマル」
だとすればどうするべきなのか?
第5章 スペースシャトル・チャレンジャーの悲劇 誰がシャトルを打ち上げさせたのか
打ち上げ 73秒後の悲劇
ボイジョリーと技術者の倫理
本当に「悪玉」が元凶なのか?
「逸脱の常態化」:よい人がみんなで起こす悲劇
「第三者の目」の本当の意味
第6章 ディープウォーター・ホライズン 大企業はなぜ失敗を繰り返すのか
無事故記録式典の夜の悲劇
平穏無事に潜む危険
「組織事故」と「深層防護」
防護を破るもの
「スイス・チーズモデル」
組織事故は現代の技術の宿命
「安全文化を高めよう!?」
組織は変われるか
第7章 日航機乱高下事故と機長の裁判 原因究明か、責任追及か
組織事故の被害とどう向き合うか
「唯一の」人身死亡事故
事故調査の結果:「習熟が不十分」
機長の刑事訴追と裁判
パイロットたちの不満
ヒューマン・エラーをどう防ぐのか
社会正義と責任追及
原因究明か、責任追及か
第8章 通勤電車の大事故は誰のせいなのか 組織の責任を問う難しさ
日常を暗転させる重大事故
「運転士のミス」の裏側
歴代社長たちの刑事裁判と無罪判
「組織の責任を問う」ことの難しさ
第9章 3・11複合災害の衝撃 レジリエンス・エンジニアリング論とは
未曽有の大災害の衝撃
本当に足りなかったものは何か
「想定」の中の安全と「想定外」
レジリエンス・エンジニアリング
レジリエンス・エンジニアリングの具体的なイメージ
「臨機応変」ができるのは人間だけ
リーダーたちに求められること
第10章 これからの「科学技術の失敗からの学び」のために
「失敗から学ぶ」ことの本当の難しさ
科学や技術が教えてくれないこと
2・5人称の視点
事故を記憶すること、事故と向き合い続けること
決めるのは私たち:何が本当に大切なのか
何かが起きてからではなく、何かが起きる前に
あとがき
索引