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RNAの科学
時代を拓く生体分子
筆頭著者 金井 昭夫 (編)
慶應義塾大学先端生命科学研究所教授
朝倉書店
電子版ISBN 978-4-254-91798-7
電子版発売日 2024年7月22日
ページ数 288
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-254-17186-0
印刷版発行年月 2024年7月
書籍・雑誌概要
RNAは,DNAやタンパク質と並んで生命現象を司る基本的な生体分子である。近年,従来知られていた以上に生体内で重要な役割を数多く担っていることが明らかにされつつある。さらに創薬やワクチンなどへの応用も注目を集めている。RNAの基本的なはたらきから最近の知見まで,全体像を俯瞰できる一冊。オールカラー。
目次
まえがき
目次
略語表
Ⅰ RNA の基礎生物学
INTRODUCTION
1章 転写
1.1 RNA ポリメラーゼ
1.2 プロモーターと転写開始
1.3 転写伸長
1.4 転写終結
1.5 転写のエピジェネティックな制御
1.6 液–液相分離による転写制御
2章 mRNA スプライシング
2.1 mRNA スプライシングとは
2.2 恒常的スプライシングと選択的スプライシング
2.3 スプライシングに関わる基本因子
2.4 スプライシング制御因子
2.5 スプライシングと細胞内諸過程との連携
2.6 スプライシング異常による疾患─ RNA 病
2.7 バックスプライシングとcircRNA
3章 tRNA,リボソームとrRNA
3.1 tRNA
3.2 リボソームとrRNA
4章 tRNA とrRNA の修飾
4.1 修飾ヌクレオシドの種類と構造
4.2 修飾ヌクレオシドのtRNA やrRNA での位置
4.3 tRNA およびrRNA 中の修飾ヌクレオシドの役割
4.4 生命はtRNA とrRNA を修飾するために多数の酵素を必要とする
4.5 tRNA 修飾やrRNA 修飾と高次生命現象
4.6 RNA 修飾は,今なお,進化し続けている
5章 真核生物の翻訳制御機構
5.1 tRNA のアミノアシル化
5.2 翻訳開始
5.3 配列内リボソーム進入部位(IRES)による非標準的な翻訳開始
5.4 翻訳伸長
5.5 翻訳終結─ペプチドの解離とリボソームリサイクル
5.6 翻訳伸長と終結におけるeIF5A の機能
6章 遺伝子発現の正確性を保証する品質管理機構
6.1 異常mRNA を認識し排除するmRNA 品質管理機構
6.2 翻訳品質管理の分子機構と生理意義
6.3 機能欠損リボソームの品質管理機構NRD とリボファジー
Ⅱ 機能性RNA
7章 miRNA 経路の全体像
7.1 miRNA の発見
7.2 miRNA はどのように生合成されるのか
7.3 miRNA のAGO への取り込み─ RISC の形成
7.4 AGO の品質管理
7.5 RISC による標的mRNA の認識
7.6 RISC による遺伝子発現の抑制─翻訳の抑制とmRNA の分解
7.7 miRNA とsiRNA
8章 miRNA と翻訳因子の制御
8.1 真核生物mRNA の翻訳開始段階とその制御
8.2 miRISC による標的mRNA の翻訳阻害と分解
8.3 miRISC とRNA 結合タンパク質による時空間的な遺伝子発現制御
9章 piRNA と生殖
9.1 piRNA とPIWI タンパク質
9.2 piRNA クラスターの転写
9.3 piRNA の生合成
9.4 piRNA によるトランスポゾンの抑制を介した生殖細胞ゲノムの防御
9.5 トランスポゾン以外の遺伝子を抑制するpiRNA
10章 lncRNA による個体レベルでの機能制御
10.1 エピジェネティクスとゲノム刷り込み
10.2 染色体レベルでの遺伝子量補正
10.3 エピゲノム制御lncRNA 群の遺伝学的な解析
10.4 世代を超えて伝わる遺伝情報とRNA
10.5 その他細胞質に存在する機能性RNA
11章 lncRNA と細胞内相分離
11.1 lncRNA の作用様式
11.2 細胞内相分離を誘導するRNA
11.3 非膜オルガネラでのlncRNA による制御機能
12章 細菌のsRNA
12.1 細菌におけるsRNA の発見
12.2 細菌sRNA の基本構造
12.3 sRNA による標的mRNA の制御
12.4 Hfq は塩基対形成を促進させる
12.5 sRNA の生合成経路と機能調節
12.6 sRNA と細菌の生理
12.7 遺伝子発現過程で機能するRNA およびRNA 結合タンパク質
Ⅲ RNA 分野の新技術
INTRODUCTION
13章 CRISPR の構造と機能
13.1 CRISPR の発見
13.2 CRISPR 配列の普遍性
13.3 cas 遺伝子の発見とその機能
13.4 CRISPR/Cas は獲得免疫機能を担う
13.5 CRISPR/Cas の作用機構
13.6 CRISPR/Cas システムの多様性
13.7 CRISPR/Cas の応用
13.8 CRISPR/Cas の多様な作用機序とその利用
14章 RNA 分野の新技術─ miRNA やsiRNA を用いた創薬研究
14.1 miRNA 創薬の基本概念
14.2 miRNA 阻害療法
14.3 miRNA mimic を用いたmiRNA 補充療法
14.4 miRNA 創薬の今後の課題
14.5 siRNA 創薬の基本概念
14.6 siRNA 医薬品の開発
14.7 siRNA の設計法と応用
14.8 siRNA の化学修飾と今後
15章 mRNA 創薬─ mRNA を薬として用いる
15.1 mRNA 創薬の歴史
15.2 mRNA 創薬の技術的ポイント
16章 リボザイムとその応用
16.1 リボザイムの基本概念とその意義
16.2 リボザイム研究の歴史
16.3 リボザイムの種類
16.4 核酸医薬としてのリボザイム
17章 RNA の合成生物学
17.1 RNA スイッチ
17.2 リプログラミング
Ⅳ RNA と進化
INTRODUCTION
18章 RNA ワールド仮説と生命の起源
18.1 RNA ワールド仮説の誕生とその背景
18.2 RNA の自己複製系
18.3 RNA ワールドから現存生命へ
18.4 RNA ワールド仮説の問題点
19章 rRNA の進化と進化工学
19.1 翻訳システムの誕生と進化
19.2 リボソームの進化
19.3 微生物の系統分類の指標としての16S rRNA
19.4 16S rRNA 遺伝子の水平伝播実験
19.5 リボソーム可塑性の分子基盤
19.6 16S rRNA の組換え進化
19.7 翻訳システムが改変された変異株の表現型進化
索引