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新人・後輩のアセスメント力を育む指導

看護師の思考を刺激するOJT

新人・後輩のアセスメント力を育む指導
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筆頭著者 阿部 幸恵 (編著)

日本看護協会出版会

電子版ISBN 978-4-8180-2694-0

電子版発売日 2024年2月15日

ページ数 192

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-8180-2758-9

印刷版発行年月 2023年12月

DOI https://doi.org/10.32181/9784818027589

書籍・雑誌概要

「指導の時間がとれない!」と嘆くすべての先輩ナースのために、
ケア場面に沿った「OJTでの声かけと行動」をマンガで例示!
新人・後輩の指導に当たる先輩ナースの共通の悩みは「価値観のギャップ」「指導の時間や場の確保」「具体的な指導方法」ではないでしょうか。
本書では、【先輩ナースが日々行う看護実践のすべてが指導である】との前提に立ち、看護の基盤となる「アセスメント力」を磨く方法を、「OJTでの声かけと行動」に落とし込んで解説します。

目次

第1章 看護師が行う情報収集とアセスメント

1.病棟や外来で、一人で動ける力が「看護実践力」なのか?
 1)「看護実践力」とは何か?
 2)「ひとり立ち」と「看護実践力」

2.看護師の思考過程:思考の両輪
 1)看護師の思考過程を育てる
 2)看護過程は連なっている
 3)問題解決型思考と目標志向型思考
 (1)看護師は対象の看護問題を探したくなる/(2)問題が解決した後/(3)看護の対象にどうかかわるのか/
 (4)看護の価値は「その人らしさ」を支えること

3.対象をとらえる「3つの視点」
 1)退院サマリーから学ぶ
 2)看護に必要な情報を得るための「3つの視点」
 (1)虫の目/(2)鳥の目/(3)魚の目
 3)生活にフォーカスを当てるのが看護師

4.対象である「人」の多様な側面
 1)「人」とは、どのような存在なのか?
 (1)人とは、生命をもつ存在/(2)人とは、精神活動をする存在/(3)人とは、幸福を得ようとする存在/
 (4)人とは、生物学的性差だけでなく社会・文化的性差をもっている存在/(5)人とは、時の流れで変化する存在/
 (6)人とは、生活を営む存在/(7)人とは、社会とかかわり社会の一構成員である存在/
 (8)人とは、環境に影響されるとともに環境に働きかける存在
 2)対象である「人」の全体像をとらえるために

5.現象を「看護の情報」とするための専門的知識と概念
 1)初学者の情報収集
 2)現象と知識がつながるか
 3)データを意味づける
 4)看護師として考え続ける姿勢

6.アセスメントを楽しもう!
 1)アセスメントのステップ:苦手意識からの脱却を目指して
 (1)情報収集/(2)分析/(3)集約/(4)解釈/(5)問題の明確化

第2章 新人・後輩を指導する前に知っておきたいこと

1.指導の心得:7か条
 1)新人や後輩の常識・価値観と、指導者たちの常識・価値観は違って当然と心得る
 (1)違うことは「悪」ではない/(2)学習方法の違いを理解する/(3)何のために学習させるのか
 2)新人や後輩の人間関係の築き方は、指導者世代とは異なり、また未熟で当然と心得る
 (1)リアルとネット、2つの社会をもつ「Z世代」
 3)新人や後輩は、自身の考えや感情を表現しにくいものと心得る
 (1)新人や後輩は、変化する社会の影響を受けている/(2)表情と気持ちが一致しない学生たち/
 (3)関心をもち、人として近づいてみる
 4)誰でも、主体的かつ継続的に学習することは難しく、失敗と成功の「ゆらぎ」を経て成長すると心得る
 (1)主体的に学習できるよう、指導者が仕掛ける/(2)学習内容を絞り、具体的な課題を出す/
 (3)おかれた状況、感情、思考を踏まえてサポートする
 5)新人や後輩の能力と、育ちにかかる時間は、一律ではないと心得る
 (1)看護を行ったか、行わなかったかを、日々問い続ける
 6)2年目以降の後輩指導は、新人指導より重要と心得る
 (1)タスク重視の「点灯人」になっていないか?/(2)「手」をかけた後は、「心」をかけ続ける/
 (3)自分で考えて試行することを促し続ける/(4)「できる」「できない」のタイプを見極める
 7)「現場は忙しい」「OJTで指導の時間はつくれない」は通用しないと心得る

2.人の思考とは
 1)「抽象のはしご」をうまく昇降する
 2)4つの思考のタイプ:「推論」「問題解決」「意思決定」「アナロジー(類推)」
 3)「論理的思考」と「批判的思考」
 4)認知的な情報処理のプロセス
 (1)環境からの入力/(2)環境への出力
 5)フローを引き出す指導で「注意」を向けさせる
 6)環境から何をとらえ、看護に必要な情報にするか

第3章 「実践型看護過程」に沿ったOJTでの指導例

1.看護過程と実践のコネクト:「実践型看護過程」
 1)看護過程を確認することで、看護師の思考力が育つ
 2)4つのフェーズにおける指導のポイント
 3)思考の様式で4つのフェーズをとらえる

2.アセスメント力を育む指導例
 A:大山千沙子
 1)間接的フェーズ:情報の共有
 2)間接的フェーズ:知識の確認①
 3)間接的フェーズ:アセスメントと問題抽出①
 4)直接的フェーズ:アセスメントと問題抽出②
 5)行為の中のフェーズ:ケアの実施
 6)行為後のフェーズ:本日の振り返り
 7)行為後のフェーズ:知識の確認②
 B:川添宣子
 1)間接的フェーズ:情報の共有
 2)間接的フェーズ:知識の確認①
 3)間接的フェーズ:アセスメントと問題抽出①
 4)直接的フェーズ:アセスメントと問題抽出②
 5)行為の中のフェーズ:ケアの実施
 6)行為後のフェーズ:本日の振り返り
 7)行為後のフェーズ:知識の確認②
 C:熊谷武夫
 1)間接的フェーズ:情報の共有
 2)間接的フェーズ:知識の確認①
 3)間接的フェーズ:アセスメントと問題抽出①
 4)直接的フェーズ:アセスメントと問題抽出②
 5)行為の中のフェーズ:ケアの実施
 6)行為後のフェーズ:本日の振り返
 7)行為後のフェーズ:知識の確認②

第4章 新人・後輩のアセスメント力を育む指導

1.アセスメントがうまくいかない3つのタイプへの処方箋
 1)知識不足で情報収集が不十分なタイプ
 (1)視野が狭く、最低限の情報しか見ていない/(2)日常的にケアの根拠を考えることをしない/
 (3)仕事を通じて「人」をとらえるために必要な情報を思考しない
 2)部分的なアセスメントはできても、統合して考えられないタイプ
 (1)「対象となる人」の全体像を描けない/
 (2)「申し送りの廃止」や「診療の補助」業務優先で、看護独自のケアが失われている/
 (3)個々のアセスメントを統合して看護につなげる努力を
 3)対象との関係性から引き出される現象をとらえられないタイプ
 (1)日々のかかわりから情報を集められない/(2)「診療の補助」業務に目を奪われる学生たち/
 (3)食の進まない患者への、看護独自のケアを目の当たりにして/
 (4)「かかわり中心型」の看護師にしか得られないもの/
 (5)素晴らしくもあり、危険でもある「言葉」の取り扱い

2.ナイチンゲールの「三重の関心」に沿って思考力を強化する指導
 1)「三重の関心」をもつということ
 (1)看護の知・看護の心・看護の技/(2)知的な関心/(3)対象への関心
 2)「知的な関心」がもてるような指導方法
 (1)「知識不足で情報収集が不十分なタイプ」への指導
  ①「間接的フェーズ」で知識を確認し、知識を増やして情報と関連づける
  ②「直接的フェーズ」で知識を確認し、知識を増やして情報と関連づける
  ③「報告時」を利用して知識を確認し、増やす
  ④「行為後のフェーズ」で振り返り、知識を確認して増やしていく

 3)「対象への関心」がもてるような指導方法
 (1)「部分的なアセスメントはできても、統合して考えられないタイプ」への指導
  ①看護過程を使って簡潔に申し送り、アセスメントを統合させる
  ②カンファレンスや勉強会でアセスメント関連図を作成し、ケースカンファレンスを行う
 (2)「対象との関係性から引き出される現象をとらえられないタイプ」への指導
  ①「直接的フェーズ」やケアの後に発問をし、モデルを示す
  ②プロセスレコードを作成し、関係性から生じた現象を自ら見つけさせる

【コラム】
◆ナイチンゲールが危惧したこと
◆思考するうえで大切な看護の中心概念(メタパラダイム)
◆X・Y・Z世代そしてα世代 
◆「プロセスレコード」の研修は指導者にも効果的!
◆メタ認知