J. of Clinical Rehabilitation 30巻2号
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J. of Clinical Rehabilitation 30巻2号

感覚障害に対するリハビリテーションアプローチ 医歯薬出版 電子版ISBN 電子版発売日 2021年2月15日 ページ数 100 判型 B5 印刷版ISSN 0918-5259 印刷版発行年月 2021年2月

書籍・雑誌概要

感覚障害に対するリハビリテーションアプローチ
 老眼や難聴等,加齢とともにあらゆる感覚器の機能は衰えてくる.それとは別にさまざまな疾患や外傷によっても感覚器の機能は衰える.COVID-19 感染症による味覚障害・嗅覚障害は大きな話題となった.感覚障害はその機能障害のみならず,続発性の障害を容易く引き起こす点でも重要である.味覚・嗅覚の障害は食欲低下を介して栄養障害を引き起こし,サルコペニア・フレイルの原因となる.視覚障害・平衡感覚障害は転倒・骨折と密接な関係があり,また抑うつ等の精神障害にもつながる.さらに,聴覚障害と認知症発症の関係等も注目されている.触覚の失認等のQOL 低下も著しい.そのような感覚障害の病態生理の理解について近年多くの進歩があった.そしてその理解に基づいて感覚障害に対する対応にも大きな進展がみられる.機能障害そのものの治療法に加えて,環境調整や補助具等機能低下を補完する方法論が確立されてきたのである.つまり包括的なリハビリテーションが感覚障害に対しても有効な手立てとなるケースが近年飛躍的に増加してきたのである.このような感覚障害に対する包括的なリハビリテーションを理解するために,この特集を企画した.
 本特集では視覚障害については東北大学の鈴鴨よしみ先生に,味覚障害については同じく東北大学の歯科の笹野高嗣先生,嗅覚障害に対しては高知大学の奥谷文乃先生,聴覚情報処理障害というまだ耳慣れない障害については国際医療福祉大学の小渕千絵先生,平衡感覚障害については日本福祉大学の浅井友詞先生,咽頭感覚障害については東邦大学の海老原 覚先生,触覚障害については文京認知神経科学研究所の武田克彦先生にご執筆いただいた.いずれもその道で活躍している研究者である.とりわけ武田克彦先生は神経心理学の大家であり,恐る恐る原稿を依頼させていただき,書いていただけたのは感激である.それぞれの先生に,その障害の発症機序について中枢性・末梢性を意識しながら概説いただき,そのメカニズムに基づく介入法・リハビリテーションについて執筆いただいた.
 感覚受容の究極のターゲットオーガンは脳であるが,脳での感覚受容はその人の経験に大きく左右される.生命にかかわる生態警告系の感覚信号でなければ,快・不快等が経験により決まってくる.有名なプルーストの『失われた時を求めて』の「紅茶とマドレーヌ」の挿話にみられるように,「素晴らしい快感に襲われ,何か貴重な本質で満たされ」たと感じるのは,幼いときに親戚の叔母がハーブティーに浸して出してくれたマドレーヌの味だったりするのである.このような事実は,すべての感覚障害に対してリハビリテーションの介入の余地があることの証である.COVID-19 感染症では,治癒後でも後遺症が長く続くことが報告されており,感覚障害も例外ではない.今後ますます,感覚障害のリハビリテーションは重要になってくると考えられ,本特集がその理解の一助となれば幸いである.(編集委員会)

目次

視覚障害に対するリハビリテーションアプローチ  鈴鴨よしみ,小幡紘輝
味覚障害に対するリハビリテーションアプローチ-歯科的立場から-  笹野高嗣,庄司憲明
嗅覚障害に対するリハビリテーションアプローチ(嗅覚刺激療法)  奥谷文乃
聴覚情報処理障害に対するリハビリテーションアプローチ  小渕千絵
平衡感覚障害に対するリハビリテーションアプローチ  浅井友詞,浅井勇人・他
咽頭感覚障害に対するリハビリテーションアプローチ  海老原覚,佐々木まどか・他
触覚障害に対するリハビリテーションアプローチ  武田克彦
■新連載
巻頭カラー  見て学ぶ 脳卒中診察手技 
1.摂食嚥下障害の診察と検査  小川真央,柴田斉子 
■連載
リハビリテーション職種が知っておくべき臨床統計:基礎から最新の話題まで 
5. 変数の扱い方:尺度水準とデータのまとめ方  佐藤俊太朗 
こういう工夫でこんなに変わった! アドヒアランスやコンコーダンスを高めるリハビリテーション 
13.末梢動脈疾患  安隆則 
重度障害、重複障害に対する私のリハビリテーション治療経験 
7.パーキンソン病に脳血管障害を合併した2症例の回復期リハビリテーション治療  中馬孝容 
今伝えたい! 脊髄損傷治療の現状と課題 
8. 脊随損傷者と生活環境  一木愛子 
オーストラリアのリハの現場より 
第10回 オーストラリアで家族のケアラー(家族介護者)としての経験  大谷智子,渡辺百合子 
更生・康复・復健・リハビリテーション 
第8回 医学モデルを超えて  江藤文夫 
心に残ったできごと―リハビリテーション科の現場から 
歩行の診療から見える景色  緒方徹 
臨床経験 
両側骨盤部分半截術後に作製した装具とリハビリテーションにより自宅退院につなげた一例  上塘彩子,林稔・他
臨床研究 
高次脳機能障害に対する精神科診療の現状  武澤信夫

学会報告 
第4回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会  土井博文

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