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セラピスト教育のためのクリニカル・クラークシップのすすめ【第3版】
筆頭著者 中川 法一 (編集)
増原クリニック 副院長
三輪書店
電子版ISBN
電子版発売日 2019年9月2日
ページ数 360
判型 B5
印刷版ISBN 978-4-89590-646-3
印刷版発行年月 2019年1月
書籍・雑誌概要
養成施設指定規則が改正 ! 診療参加型臨床実習待ったなしの時代に必須 !
厚生労働省による理学療法士作業療法士養成施設課程の指定規則が改正され、臨床実習指導方法として診療参加型臨床実習(clinical clerkship、CCS)が明記された。従来のやり方は時代遅れの方法になりつつある。本書は一般社団法人日本リハビリテーション臨床教育研究会(旧セラピストのためのクリニカルクラークシップ研究会)を立ち上げ、30年近くにわたりCCS浸透に尽力を注いできたメンバーによる渾身の第3版である。CCSについて、懇切丁寧の解説と豊富で詳細な実践例、さらにCCSに必須のチェックリストの付録も掲載。CCSを初めて知る人も、CCSの導入を考えている施設にも、CCSへの理解をさらに深めたい人にもお勧めのCCS王道本。
目次
第1章 臨床実習の転換期を迎えて
1 臨床実習教育環境の変化・・・中川法一
2 臨床実習における諸問題とその対応・・・潮見泰藏
3 新しい臨床実習モデルへの転換・・・潮見泰藏
4 新しい臨床研修モデルならびにメンター制導入に関する提言・・・潮見泰藏
5 生涯学習に関わるトピックスと今後の展望・・・潮見泰藏
第2章 臨床実習の現状をみる
1 セラピスト教育における臨床実習の危機・・・中川法一
① 養成校増加による実習施設不足から始まったのだが
② 学生の法的身分
③ カリキュラムとしての存在意義の喪失
④ リアリティの問題
2 臨床実習の検証―患者担当制実習の崩壊・・・中川法一
① 学生への教育効果
② 臨床実習現場の問題
1)医療の高度化とリスク管理
2)診療の質量の担保
3)権利意識とインフォームド・コンセント
4)利潤性の低下がもたらす影響
第3章 クリニカル・クラークシップとは
1 臨床実習改革プログラム開発の基盤的視点・・・中川法一
① OJT(onthejobtraining)という視点
② システムという視点
③ 経験値向上という視点
④ スキル修得という視点
⑤ 臨床教育者(CE)は学習資源という視点
2 日本の医師教育におけるクリニカル・クラークシップ・・・中川法一
① クリニカル・クラークシップとは「形態か理念か?」
② 医師教育でのクリニカル・クラークシップの実態
③ 医学生の臨床実習において,一定条件下で許容される基本的医行為
3 セラピスト教育におけるクリニカル・クラークシップの創造・・・中川法一
① 技術単位診療参加システム
② 「見学」「模倣」「実施」の原則
③ 「できることから」実践する実習
④ 「行動目標対象は患者」である実習環境
第4章 クリニカル・クラークシップの有益性と問題点
1 クリニカル・クラークシップの有益性
① 助手としての診療参加における有益性・・・金澤壽久・中川法一
② 技術項目を細分化する有益性・・・松山太士・中川法一
1)臨床現場への道標を示すための細分化
2)繰り返し経験するための細分化
3)形成的評価のための細分化
③ 経験値の向上が及ぼす有益性・・・舟川和孝・中川法一
④ 複数学生の指導・・・吉川法生
2 臨床活動への効果・有益性・・・中川法一
3 臨床実習形骸化の危惧・・・中川法一
4 臨床実習評定の考え方・・・中川法一
第5章 従来型臨床実習からの脱却
1 患者担当制から患者中心型実習へ・・・中川法一
2 脱・担当制・・・日髙正巳
① 複数例を経験することで学び得るもの
② 臨床実習における有効なフィードバックはどのように行われるべきか?
③ 担当制を超えた担当制
3 脱・学生評価(1)養成校の立場から・・・小林隆司
① 教育評価の機能
② 従来型実習評定の弊害
③ 総括的評価から形成的評価へ
④ 養成校の責任
⑤ 養成校における総括的評価のあり方
4 脱・学生評価(2)実習施設・臨床教育者の立場から・・・山下昌彦
① 従来型学生評価からの脱却
② 教育評価の原則
③ 臨床実習教育で用いられる到達度評価の問題点
1)明確に設定されていない到達目標(一般目標,行動目標)を評価しようとしている
2)総括的評価(合否判定)が重要視され,学生の成長過程を評価する形成的評価が不十分である
3)1期完結型の到達度評価であり,臨床実習全体を通じての学生の成長を捉えていない
4)CEが行う学生評価はどうあるべきか
5 脱・レポート(1)・・・日髙正巳
① 症例レポートの目的と弊害
② 症例レポート自体の問題
1)実習生として
2)実習指導者として
3)養成校の教員として
③ 症例レポートの内容的限界
1)初期評価が終わらない
2)教科書的な問題点の整理に留まる
3)実習生独自の考えが書けない
4)初期評価レポートの完成と症例の変化
④ bottom―upとtop―down
⑤ ブロダクト重視からプロセス重視へ
6 脱・レポート(2)認知スキルを高める・・・日髙正巳
① 認知スキル
1)検査項目の決定
2)問題点の整理と治療目標の設定
3)治療プログラムの立案
4)治療効果の検証
② 認知スキルの段階的指導
③ 症例報告の能力を育むために
1)カンファレンスへの参加
2)養成校での事後指導
7 改・デイリーノート・・・日髙正巳
① 意義の乏しいデイリーノートとは
② 意義深いデイリーノートにしていくための基本的な視点
1)実習終了時の確認
2)始業時の確認
3)効果的なフィードバック
④ デイリーノートの改訂版(発展形)として
1)チェックリスト
2)ポートフォリオ
3)学生版診療記録
第6章 クリニカル・クラークシップの妥当性
1 セラピストの臨床教育の構造―問題解決志向型教育の現状・・・沖田一彦
2 問題の背景にあるもの―教育と学習の違い・・・沖田一彦
3 問題の解決に向けて―状況的学習という考え方・・・沖田一彦
4 認知科学からみたCCSの妥当性―認知的徒弟制と正統的周辺参加・・・沖田一彦
5 まとめ―CCSの妥当性の検証を目指して・・・沖田一彦
6 行動分析学的観点からのクリニカル・クラークシップの妥当性・・・山﨑裕司
① 行動の基本原理
1)応用行動分析学
2)行動の法則
3)行動分析学の神経生理学的背景
② 従来の臨床実習教育の問題点
1)適切な行動を弱化
2)レスポンデント行動の誘発
3)回避行動の形成
4)刺激般化
5)失敗が道具的・認知的遂行能力に与える影響
③ CCSによる臨床実習教育の妥当性
1)行動目標の明確化
2)無誤学習過程
3)複雑な臨床的思考の発達
④ おわりに
第7章 クリニカル・クラークシップの実際
1 クリニカル・クラークシップへの先駆的取り組み
① 藤田医科大学医療科学部リハビリテーション学科概要・・・大塚 圭
1)COSPIREとは?
2)教育病院と関連施設との連携
3)CCSに基づいた臨床実習への転換
4)現状と今後に向けた取り組み
② 富山医療福祉専門学校での導入後の教育効果・・・酒井吉仁
1)はじめに
2)CCS導入の取り組み
3)臨床実習評価結果の比較
4)CCS導入後の教育効果
5)新たな取り組みと今後の課題
2 各場面における参加
① 退院前訪問指導・・・吉村政則
1)intentional:意図的
2)systematic:計画的
3)ongoing:継続的
4)interactive:双方向
5)individuality:個別性
6)onthejob:業務内
7)inprocess:過程指導
おわりに
② カンファレンスへの参加・・・吉村政則
1)intentional:意図的
2)systematic:計画的
3)ongoing:継続的
4)interactive:双方向
5)individuality:個別性
6)onthejob:業務内
7)inprocess:過程指導
おわりに
③ 情報収集・・・砥上恵幸
1)疾患についての知識を持つ
2)疾患の自然経過を学習する
3)収集する情報項目を選択する
4)情報を収集する
5)情報をもとに患者への治療的介入とリハビリテーションを考える
おわりに
④ 他動運動・・・長福武志
1)見学
2)模倣
3)実施
⑤ 関節可動域計測・・・金澤壽久
1)見学の前に(provide)
2)見学(modeling)
3)模倣前期(coaching)
4)模倣後期(scaffolding)および実施(fading)
解説
⑥ 徒手筋力検査・・・加納一則・都留貴志
1)見学(modeling)
2)模倣(coaching)
3)実施(fading)
⑦ 動作観察・・・長福武志
1)見学(modeling)
2)模倣(coaching)
3)実施(fading)
⑧ 動作介助・・・金澤壽久
1)見学の前に(provide)
2)見学(modeling)
3)模倣前期(coaching)
4)模倣後期(scaffolding)
5)実施(fading)
解説
⑨ 日常生活活動指導(入浴)・・・日髙正巳
1)事前確認
2)入浴場面
3)入浴動作練習の準備
4)退院後に向けて
⑩ 他職種への介助指・・・大工谷新一
1)前段階
2)参加手順
⑪ 歩行練習・・・長福武志
1)見学(modeling)
2)模倣(coaching)
3)実施(fading)
⑫ 運動指導・・・大工谷新一
1)個人への運動指導
2)集団への運動指導
⑬ 急性期リスク管理・・・砥上恵幸
1)実習生が臨床実習で学ぶべきリスク管理
2)リスク管理をどのようにして指導するか
おわりに
⑭ 物理療法・・・日髙正巳
1)ホットパック
2)超音波療法
3)電気刺激療法
4)水治療法(渦流浴)
⑮ 自助具作製における参加・・・花房謙一
1)見学(modeling)
2)模倣(coaching)
3)実施(fading)
⑯ 問題点共有・・・金澤壽久
1)見学(modeling)
2)模倣前期(coaching)
3)模倣後期(scaffolding)および実施(fading)
解説
⑰ 症例研究・・・大工谷新一
1)後向き研究の参加手順
2)前向き研究の参加手順
3 臨床思考図の導入・・・山下昌彦
① 臨床推論を指導することの難しさ
② レポートを用いた臨床推論指導の問題点
③ 臨床思考図の紹介と活用
④ 臨床思考図の有用性および課題
⑤ おわりに
4 介護老人保健施設での実践報告・・・日髙正巳
① 個別的介入への参加
② レクリエーションリーダーへの道
③ 見学に留まる可能性が高い経験項目
1)ケースカンファレンスへの参加
2)入所前面接への参加
④ 少数のセラピストが多数の対象者に対応する場合の注意点
⑤ まとめに代えて
5 訪問リハビリテーションでの実践報告・・・松川英一
① 訪問リハビリテーションで行うCCS:初回
1)情報収集
2)バイタル測定
3)当日のリハビリテーション内容の説明
② 訪問リハビリテーションで行うCCS:別の日
1)バイタル測定
2)当日のリハビリテーション内容の説明
6 精神科作業療法領域における展開・・・浦田健太郎
① CCS導入の経緯
② CCSの基本原則
③ CCSの実践
1)実習の流れ
2)オリエンテーション
3)1日の流れ
4)精神科領域での見学・模倣・実施について
5)実践方法「見学」
6)実践方法「模倣」
7)実践方法「実施」
④ 思考過程の確認方法
1)ディスカッション
2)チェックリスト
⑤ その他のポイント
1)実習生と関わる際のポイント
2)導入前の準備
3)実施を禁止しているもの
⑥ おわりに
7 卒後教育における展開・・・神谷喜一・玉城沙百合
① 現場で求める即戦力
② 教育の重要性
③ 卒前・卒後教育の問題点
④ これまでの卒後教育
⑤ CCSの利点
⑥ 認知的徒弟制・正統的周辺参加の定着
⑦ 指導者の養成
⑧ 卒前・卒後教育の一貫性
⑨ 生涯教育
8 卒後教育における実践報告・・・玉城沙百合・神谷喜一
① CCS導入経緯
② 運営体制
1)新人セラピストに対する指導方法
2)CEに対する指導方法
③ CCS結果(平成25年度~平成28年度)
④ CCSとインシデント発生件数
⑤ 導入後の問題点
⑥ 導入後の問題点に対する取り組み
⑦ 卒後教育をCCSで行うには
⑧ 卒後教育における問題点
1)臨床現場
2)指導者育成
3)新人セラピスト育成
⑨ 卒前教育に求めること
9 卒後教育における展開ー訪問リハビリテーション・・・阪上高志
① 段階的訪問
② 各訪問段階での教育目標
③ 教育チェックリスト
④ 指導の実際
⑤ 指導者への教育・研修
第8章 スタイル論の強化
1 システム論とスタイル論・・・中川法一
① 臨床実習の目的はクリニカルワークでしか達成できない
② CCSはシステムである
2 双方向の関係性の構築のめに・・・吉村政則
① 実習施設という環境因子
② 他者理解について
③ 臨床実習でどう活かすか
1)実習初日
2)見学(modeling)
3)模倣・実施(coaching・fading)
4)記録
④ まとめ
⑤ おわり
3 学生個々の資質に応じた臨床実習の展開・・・山下昌彦
① 臨床実習における学生の自己効力感
② 臨床実習における学生のストレス
③ 学生個々の資質に応じた臨床実習の実際
④ おわりに
4 形成的評価の試み・・・山下昌彦
① 形成的評価の要点
1)When・Why:いつ・なぜ評価するのか
2)What・How:何を・どのように評価するのか
3)Whom・Who:誰を・誰が評価するのか
② 形成的評価の実際
1)「臨床実習を通しての学び」を評価する
2)ポートフォリオを用いた形成的評価の実際
3)実際にポートフォリオを使用した感想
③ おわりに
第9章 クリニカル・クラークシップQ&A・・・森實 徹・河野健一郎・阪本良太・西川明子・村西壽祥
付録
CheckListGuide/CheckList/CheckNote・・・森實 徹・阪本良太・西川明子
コラム
『CCSへの転換(導入)をした理由に関すること』
『CCS導入時(後)の壁に関すること』
『CCS導入時の学校としての工夫に関すること』
『CCS導入後の成果に関すること』
『CCS導入後の臨床実習現場の変化など臨床実習指導サイドの変化に関すること』