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脊椎脊髄術中・術後のトラブルシューティング 第2版

脊椎脊髄術中・術後のトラブルシューティング 第2版
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筆頭著者 德橋 泰明 三井 公彦 (編集)

日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野/国立病院機構相模原病院脳神経外科

三輪書店

電子版ISBN

電子版発売日 2019年3月18日

ページ数 366

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-89590-472-8

印刷版発行年月 2014年4月

DOI https://doi.org/10.18937/9784895904728

書籍・雑誌概要

今そこにある危機に立ち向かう

 脊椎脊髄手術数の増加に伴い、ある程度の頻度で合併症は必ず起こる。合併症から患者を救済するのはもちろんであるが、医療訴訟にならないようにするのも重要である。そのためには、迅速に対応して患者を救い、最悪でも被害を最小限にとどめることが必要である。転院しての治療は、新たな諸経費の発生や責任の所在の分散・希薄化、迅速な対応に限界があることなどから、苦しくてもできるかぎり自施設で何とか乗り切ることが重要である。
 しかし、1つの施設で経験できる合併症と対処法には限界があるため、本書は経験豊富な第一線の専門家に合併症の発見法と対処法を執筆いただいた。第2版では、好評を得た第1版の各項目に対する現在の対処法の実際と新たにいくつかの項目と対処法を追加して編集した。第1版での各項目の対処法の内容が、現在なお改訂をまったく要しないとされた項目もあったが、ほとんどの項目で、この10年間の工夫や進歩について加筆された。この10年間の脊椎脊髄手術手技自体の進歩だけでなく、合併症に対する対処法にも十分なスキルアップがうかがわれる充実した内容になった。結果として、頁数が倍増した68項目366頁の全面大改訂版である。さらに、困ったときの対処法が懇切丁寧に詳述され、いずれの項目も情熱にあふれた力作となっている。真摯な外科医たちからの熱いメッセージに、ぜひともふれてほしい。
 本書は手術ですぐに役立つ実践書であり、特に脊椎脊髄外科の専門医、認定医、指導医を志す整形外科医、脳神経外科医には、必携書である。

目次

Part. 1 脊椎脊髄手術における合併症の考え方・とらえ方
 1 脊椎脊髄手術合併症の分類と発生頻度,予防の原則

Part. 2 トラブルシューティングの実際
1 血管損傷と出血対策
 1 腰椎前方固定術の展開における血管処理と損傷時処置
 2 椎骨動脈損傷―前方アプローチにおいて
 3 椎骨動脈損傷―後方アプローチにおいて
 4 腰椎後方ヘルニア手術における前方大血管損傷に対する処置
 5 内視鏡下椎間板切除時の前方大血管損傷に対する処置
 6 脊椎腫瘍摘出時における出血対策
 7 髄内腫瘍摘出時における出血対策
 8 脊髄硬膜外の血管解剖と止血操作
 9 硬膜外静脈叢からの出血に対する処置
 10 術後硬膜外血腫に対する処置

2 麻痺
 1 術後脊髄麻痺への対応―総論1
 2 術後脊髄麻痺への対応―総論2
 3 胸椎後縦靱帯骨化症に対する後方除圧矯正固定術の実際―麻痺を回避するためには
 4 術後神経障害に対する高気圧酸素治療
 5 神経根障害と考えられる頸椎手術後のC5麻痺に対する処置と予防
 6 神経根障害と考えられる頸髄後方除圧後上肢麻痺に対する予防と処置
 7 椎弓形成術後のヒンジ損傷の発見と対策
 8 脊椎手術術後の神経因性膀胱に対する処置
 9 頸椎前方手術における反回神経麻痺と嚥下障害
 10 術後の脊髄浮腫―再灌流によると思われる脊髄浮腫
 11 覚醒テスト

3 感染
 1 脊椎術後感染症の早期診断と治療
 2 手術部位感染症の早期診断と治療
 3 脊椎術後感染症の予防と治療
 4 髄膜炎の治療―特に抗生物質の投与について
 5 硬膜外膿瘍への対応
 6 関節リウマチ脊椎病変の手術部位感染に対する対応
 7 脊椎術後感染症に対する高気圧酸素治療
 8 術後感染に対する陰圧閉鎖療法
 9 脊椎instrumentation術後感染に対する処置―開放砂糖療法
 10 脊椎instrumentation術後感染に対する処置―抗生物質入りフィブリン糊
 11 脊椎instrumentation術後感染に対する処置―大網移植

4 硬膜損傷と髄液漏
 1 硬膜損傷における髄液漏の対策
 2 硬膜修復におけるVCS clipの応用
 3 内視鏡手術時硬膜損傷の処置―パッチテクニック
 4 術後髄液漏に対する経皮的くも膜下ドレナージ
 6 脊椎術後脳脊髄液減少症に対する処置

5 Instrumentation,implantに関する合併症
 1 椎弓根スクリュー挿入時のlooseningに対する処置
 2 胸椎椎弓根スクリューによる大動脈損傷とその処置
 3 胸腰仙椎椎弓根スクリューによる神経障害とその処置
 4 Instrumentによる血管損傷―環軸椎
 5 Magerl法施行時の椎骨動脈損傷,神経損傷に対する処置
 6 頸椎椎弓根スクリューによる神経・血管合併症
 7 脊椎・脊髄ナビゲーション手術の現状とピットフォール
 8 Instrumentation手術後の創離開に対する処置
 9 Junctional kyphosisに対する予防と処置
 10 Instrumentに伴う椎体骨折の予防と治療
 11 後頭骨・頸椎固定術後の嚥下障害の予防と治療
 12 Instrumentation failureとその処置
 13 MISt手術のガイドワイヤーに関するトラブルの予防と処置
 14 シャント術(S-Sシャント)に関する合併症とその処置

6 その他
 1 咽頭・食道損傷,喉頭・気管損傷に対する鎖骨骨膜付き胸鎖乳突筋弁による再建術
 2 食道瘻に対する頸長筋による修復術
 3 術後乳び漏に対する治療法
 4 術後肺血栓塞栓症に対する予防と初期治療
 5 脊椎脊髄手術の術後痛に対する処置
 6 術後せん妄に対する処置1
 7 術後せん妄に対する処置2
 8 採骨部痛に対する予防と処置
 9 頸椎術後軸性疼痛に対する処置
 10 手術体位による合併症に対する予防と処置
 11 Halo pinの合併症とその処置
 12 術中脊椎高位の誤認

Part. 3 リスクマネジメント
 1 脊椎脊髄手術に関するリスクマネジメント総論
 2 脊椎脊髄外科とリスクマネジメント
 3 病院内でできるリスクマネジメントQ & A